ミチスガラ

LDHアーティストが好き。色々書きます

おかえり、スムルース

2019.03.27@高槻RASPBERRY

「おかえり!」の声に、Vo.徳田さんはさほど躊躇う風もなく
「ただいま!」と、関西イントネーションで答えた。

1曲目の唄い出し、珍しく音程が揺れてるなと思って徳田さんの顔を見たら
赤くなっていて、単に涙声だったことがわかり、つい笑ってしまった。
Gt.回陽さんに「お前が一番感極まってるやんけ」と突っ込まれていた。
いつもの、スムルースのライブだった。

 
Wikipediaより抜粋
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1997年、京都精華大学フォークソング部で結成。
2004年にメジャーデビュー。
作詞作曲は全て、ボーカルの徳田憲治が手掛けている。
代表的な曲は「冬色ガール」「スライドブルー」「スーパーカラフル」など。

2016年1月12日、スムルースのオフィシャルブログにて、「みなさまへご報告」というタイトルで、ボーカルの徳田憲治が患っていたギラン・バレー症候群の経過が小康であるという報告とともに、バンドの無期限活動休止が発表された。
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高校生の頃からスムルースが好きだった。
ポップでキャッチーで、心温まるような楽曲。
自由でのびやかで笑っちゃうほど素朴なのに、独特のクセを感じる歌詞。
曲タイトルや、ライブ中の振付の、クセになるようなダサさ。笑

3人の、近所のおじさん・お兄さんのような圧倒的親しみやすさ。
心地よく聴いてる内に、奥行きのある歌詞のセンスに嵌まってしまい、
気づいたら大好きになっていた。

愛用のもの、長年大事にしているものというのは、心の置き場所になっていると思う。心の一部が溶け込んでいて、それに改めて触れる度に感情が呼び起こされる。そういうものだと思っている。

スムルースの音楽は、やさしさと強さの場所だった。大切なものを大切にしていけるやさしさ、自分の弱い部分とちゃんと向き合えるような強さ。そういう音楽だった。

3年前の活動休止前のラストライブを、今もとてもよく覚えている。
というか、あのライブは一生の思い出になった。

ファンが選んだ名曲達を披露しながら、スムルースはステージから何度も何度も「ありがとう」と伝え、客席は笑いながら泣きながら一緒に唄いながら、何度でも「ありがとう」と答える。そうやってありったけの愛情を渡し合う、本当に幸福なライブだった。

徳田さんはあの日、「世界一の幸せを手に入れた」と言っていた。
これほど嬉しい言葉もなかった。ライブであんなに美しい光景を見たのも、あんなに泣いたのも初めてだった。

それから3年たった、2019年3月27日。

この日のイベントは、スムルースと縁が深い高槻市のライブハウス「RASPBERRY」の閉店の報を受けて、特別に企画されたものだった。

つまりこれはあくまで再結成ではなく、トクダケンジ+サポートメンバーとしての出演ではあるものの、最初からスムルースの楽曲を演奏することが告知されていたため、会場は超満員だった。

ソロ名義の曲を1曲演奏した後、
「こっから、全部スムルース!」
と宣言され、会場の盛り上がりが最高潮に達した。

始まったのはライブ定番曲の“非常にイェイね”だった。サビでワッと手が挙がった。1、2、3。1、2、3。ああ懐かしい!

会場全体が、喜びのパワーに溢れていた。

そしてインディーズ時代のレア曲が演奏されてから
“冬色ガール”のイントロが鳴った。

“冬色ガール”は、紛れもない名曲であり、かつ一番「売れた」曲でもあるので、色々な意味でスムルースの象徴的な曲として認識されている。
発売当時にはメディアで演奏する彼らを何度も見たし、もちろんライブでも何度も聴いた。ファンにとっても思い出深い一曲だった。

あの数え切れないほど聴いてきたストリングスの音が流れ出した瞬間、感情が一気に込み上げてきて、私はその後ずっと涙が止まらなくなってしまった。

「ああ変わらないんだ、変わらないでいてくれたんだ」と思った。

周りにいた何人もの人が、私と同じように
静かに歌詞を口ずさみながら涙を拭い続けていた。

3年。
振り返ればどうってことない期間に思えるけど、やっぱり長かった。
私も変わったし、きっと3人も色々変わっただろうと思う。
でも変わらないものもあるとわかった。だって今こんな風にライブを観ている。
ただひたすらに「スムルースが大好きだ」と思いながら泣いたあの日と、同じ気持ちで。

「今日のライブを全力でやります」という言葉を聴いて、
徳田さんも、おそらくこの日が来るまでに思い出したんじゃないだろうか、と思った。

あの日、ライブの終盤、恐らく本当にむき出しの感情で、
「ああ、今わかった、音楽とは何か」
「出し尽くすことや!」
と叫んだことを。

〈未完成を重ね続ける〉と唄い続けるスムルースが好きだ。
重ね続けることで今がある。
その中で色んなことを忘れていくけど、また思い出せることもある。

進んでも、立ち止まっても、私たちは皆ずっと見守っているよ。
もっと遠くへ、共に行こう。
そう彼らに言いたいと思った。

 

 



……でもなるべく早く……!
ええやん!!はよ帰ってきて!!笑
……いや、待ちますよ ちくしょう

でも、この日をくれてありがとう。
やっぱり私はスムルースが好きでした。