ミチスガラ

LDHアーティストが好き。色々書きます

『HiGH & LOW THE WORST』『HiGH & LOW THE WORST X』の音楽を振り返る【2022.12.26 追記】

※映画『HiGH & LOW THE WORST』『HiGH & LOW THE WORST X』本編の内容に関するネタバレが含まれていますのでご注意ください。

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【2022.11.28 追記】

※『HiGH&LOW THE WORST』、『HiGH&LOW THE WORST X』の楽曲を収録したベストアルバム『HiGH&LOW THE WORST BEST ALBUM』の発売が発表されました!

発売日は2022年12月28日とのことです。(詳細↓)

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 【2022.12.26 追記】

アルバムの配信がスタートしました(↓)。

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HiGH & LOW』シリーズの特徴の一つに「作中で様々なうたを機能させる」という点があります。

作品の主題歌としてはもちろんのこと、展開を盛り上げるための劇伴として、また各登場人物やそのまとまりの個性を強調するためのテーマソングとして。様々な作風で数多く書き下ろされる“うた”は、「LDHが届けるエンタテインメント作品」としての『HiGH & LOW』シリーズにおいて必須要素となっています。

現在は『HiGH & LOW THE WORST X』が公開中ですが(終了した地域もかなり多くなってきましたが…)、改めて観ても前作『HiGH & LOW THE WORST』における「JUMP AROUND∞」「SWAG & PRIDE」「Top Down」「FIRED UP」といった楽曲群は、作品の魅力を形作る上での重要な構成成分として機能していたように思います。

そして、続編である『HiGH & LOW THE WORST Xでも、主題歌や挿入歌としてまた新たなオリジナル楽曲が多数書き下ろされました。前作から今作までの間に下の世代が育ってきたこともあり、今回初めて楽曲が映画に起用されるグループも複数居ます。

また、今回は二宮“NINO”大輔総監督・平沼紀久監督による「今作では(前作のロックテイストから)ヒップホップを主軸にした楽曲にしよう」という意向から*1、楽曲の音楽性に大きく変化が加えられました。前作と今作で比較すると、その違いは明白です。

そこで、この記事では『HiGH & LOW THE WORST』と『HiGH & LOW THE WORST X』の主な使用楽曲とそのシーンを一つずつ振り返っていき、作品それぞれの音楽的な効果や特徴について何となく読み取っていこうと思います。

ギターリフによる高揚と推進力――『HiGH & LOW THE WORST』の楽曲

2作品の大元にある『HiGH & LOW』本章は、数々の個性的なキャラクター・派閥を交えて展開していくスケールの大きい物語でした。そのため、各チームの雰囲気に合わせてロック、ヒップホップ、EDMなどのジャンルを横断する多種多様な挿入歌が用意されていました。

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一方、『クローズ』『WORST』の世界観を取り入れ“男子高校生達のぶつかり合い”がメインとなった『HiGH & LOW THE WORST』では、無骨さ、勇ましさ、硬質感……といったイメージを重視してのことか、比較するとロックテイストに寄ったものが圧倒的多数を占めています。アクションシーンで映えるような厚みと迫力のある音を目指す場合、華やかなシンセサイザー*2よりは、歪んだギターが選択される。

そして、当たり前のことではありますが、挿入歌の多くは画面上のキャラクターや話の展開が動き出すところで流れ始めます。そのため曲がかかる瞬間にインパクトを与えるためのイントロ―—とりわけロックテイストが多い『HiGH & LOW THE WORST』の場合は、多くの楽曲でギターリフ*3が重要な役割を果たしていました。

ここからは、各楽曲を主に使用されたシーンとともに、1作ずつ振り返っていきます。

※ボーカル入りのものに限ります。

GENERATIONS from EXILE TRIBESNAKE PIT

主人公・花岡楓士雄の幼馴染みである尾々地真也・尾々地正也の2人、通称“オロチ兄弟”のテーマ曲。

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SNAKE PIT - song and lyrics by GENERATIONS from EXILE TRIBE | Spotify

エネルギッシュかつ不敵なギターリフが印象的ですが、ダンスミュージック的なテンポと展開、シリアスでどこか哀愁のあるメロディからは『HiGH & LOW』本章でGENERATIONSが提供した「RUN THIS TOWN」とも似た方向性が感じられます。

映画では序盤も序盤である、オロチ兄弟の初登場シーンでかかります。楓士雄を追いかけていたカラーギャングっぽい集団*4に八つ当たり的に煽られた真也と正也が、凄みながら振り返る瞬間にこの曲のイントロが鳴る。

この曲はBPMが大体127前後で*5、『HiGH&LOW』シリーズのメインテーマ「HIGHER GROUND feat. Dimitri Vegas & Like Mike」等にも近しいテンポになっています*6。ここはこの映画における最初のアクションシーンとなりますが、一気に『HiGH&LOW』らしい勢いが感じられますよね。

劇中でこの約1分のシーンにしか使用されないこともあり*7他の曲に比べるとあまり話題に上らなかった印象があるんですが、個人的にGENERATIONSのロックテイストの楽曲の中ではこの「SNAKE PIT」がかなり出色なのではないかと思っています。四つ打ちのノリに推進力を上乗せするような詞の語感、それと何より数原さんの高音と片寄さんの低音の掛け合いによってオクターヴを行き来するメロが良い。二人の音域と声質、その持ち味が活かされている曲です。

余談ですが、GENERATIONSの2019年のツアー”少年クロニクル”における「SNAKE PIT」はオロチ兄弟にちなんだ演出と映像、また二人の殺陣とアクロバットを含んだパフォーマンスがあり非常にカッコいいです。もし観る機会があれば是非注目してみてください。

DOBERMAN INFINITY「まだ足りねぇ」

楓士雄や高城司らと同じ団地出身の西川泰志・横山清史を中心とした“泰・清一派”のテーマ曲。

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まだ足りねぇ - song and lyrics by DOBERMAN INFINITY | Spotify

Do or Die*8」や「JUMP AROUND∞*9」など、『HiGH &LOW』の世界観を大いに支えてきたDOBERMAN INFINITY。「まだ足りねぇ」はむしろこれが真骨頂といった感じの曲です。

劇中では省略されていることが多いですが、フル音源は不穏なアルペジオ*10のイントロから始まります。ほとんどラップとリフだけで展開し、言葉のインパクトを引き立たせるシンプルな構成。

泰・清一派は映画の序章を描いた前日譚ドラマで校舎の屋上から人を突き落とす*11、さほど因縁のない人を捕まえて指を折る、またその模様を校内放送でお届けするなどの狂犬ぶりだったので、この曲のピカレスク的な詞と不穏な空気感がよく似合っています。

あと劇中で聴くとやはりサビの印象が強いですが、【一発 一発味わいな w 】の下りの相手をナメきってる感じも泰・清一派らしさがあるし、KAZUKIさん以降のヴァースもドーベル節が全開で大変良いです。

SWAY「ON FIRE」

鬼邪高校全日制メンバーの中では最大人数を誇る派閥であるらしい、中越大・中岡昌平が仕切る“中・中一派”のテーマ。SWAYさんのソロ曲です。

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ON FIRE - song and lyrics by SWAY | Spotify

中・中一派はヒップホップカルチャーに傾倒しているという公式設定があるので、テーマ曲もストリート感のあるヒップホップになっています。後半はコーラスとシンセが重なってどんどんスケールが大きくなっていくんですが、本編やトレーラーではかからない部分なので初めて聴く人は意外な展開に感じるかもしれません。

この曲は『HiGH & LOW THE WORST』と『HiGH & LOW THE WORST X』合わせても使用されている時間が非常に短いうえ、派閥ごとのテーマ曲で唯一アクションシーンでの使用がない曲でもあります。

他の一派と比較すると目立つシーン自体が少ないため*12、挿入歌としては一番不遇かもしれません。

EXILE THE SECOND「Ain't Afraid To Die」

轟洋介と辻、芝マンの3人からなる“轟一派”のテーマ曲。

Ain't Afraid To Die - song and lyrics by EXILE THE SECOND | Spotify

冒頭の印象的なタムの音、ドンシャリのギター、エッジボイスで作り出される陰鬱な空気感からハードロックやニューメタルなどの影響が感じられる曲です。LDH全体でみても、こういう趣向の曲は希少なのではないでしょうか。このテンポと拍の曲をダンス&ボーカルグループでやろう、とはなかなか思わないでしょうしね*13

なお、この曲はドラマ『HiGH&LOW THE WORST EPISODE.O』で解禁された際には“轟洋介のテーマ曲”として告知されていたようですが(↓)、

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その約2ヶ月後に公開された『HiGH&LOW THE WORST』のトレーラー(↓)の概要欄では既に“轟一派のテーマ曲”となっています。

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さらに『HiGH & LOW THE WORST X』では、轟不在の校舎のシーンで辻と芝マンが初登場する際にこの「Ain't Afraid To Die」が流れます。つまり“轟一派の曲”であることが、あのシーンで明確に示されたことになります。

とはいえ歌詞を見ると明らかに轟洋介の精神世界を思わせる内容にはなっているので、もともと個人をテーマに制作された曲ではあったのでしょう。しかしその轟の意思を辻・芝の二人が多かれ少なかれ背負っている、と考えることに全く違和感はなく、むしろそのことを言外から伝えてくる演出としても機能しています。これは完全なるこじつけですが、ちょうど3連符が基本の曲でもありますし*14

EXILE THE SECOND「Top Down」

“『クローズ』『WORST』からの最強の刺客”として鬼邪高校と対立し、やがて共闘することとなる“鳳仙学園”のテーマ曲。

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Top Down - song and lyrics by EXILE THE SECOND | Spotify

『HiGH&LOW』よりは『クローズ』『WORST』的な世界観を強調するような、ロックテイストの強い楽曲になっています。

映画『HiGH&LOW THE WORST』は、鳳仙学園メンバーが鬼邪高校のある鬼邪地区に訪れるため一同で電車に乗り、鬼邪大寺前(おやだいじまえ)駅に降り立つ――というシーンから始まります。そして本編開始から約30秒後、いの一番に流れてくる挿入歌がこの「Top Down」です。

この曲といえば、なんといってもイントロのシンプルかつインパクトの大きいギターリフ。このリフが鳴り始めると同時にスキンヘッドの学生の大群が次々にホームへと降り立つ映像はファーストインパクトとしてあまりに印象強かったため、ちょうどその頃にネットミーム化した「Get Wild退勤」のように「Top Down降車」という聴き方が一部ファンの間で話題になりました。

さらに言えばリフだけでなく、小気味よく疾走して高揚を誘うビートやそれに負けない存在感を持つSHOKICHIさんとNESMITHさんの強く太いボーカル、ドラムが残るアウトロの粋な8小節などもこの曲の魅力です。そしてそれらは鳳仙学園の強さ、美しさ、組織としての強度など、キャラクター達の魅力にも呼応しているように感じます。

また、この曲は『HiGH&LOW THE WORST X』でもかなり活躍しており、前作と違ってアクションシーンにも採用されています。8月24日~25日に開催された“『HiGH&LOW THE WORST X』完成披露試写会&PREMIUM LIVE SHOW”*15(以下、試写会ライブ)では、BALLISTIK BOYZがこの曲をカバーで披露してくれるという嬉しいサプライズもありました*16

SALU「DON’T」

映画『HiGH & LOW THE WORST』のいくつかある山場のうちの一つ、河川敷での対・鳳仙学園戦。その終盤で流れるのがSALUさんの「DON'T」。切なく物寂しい叙情が、温かみのある歌声で綴られるバラードです。

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DON'T - song and lyrics by SALU | Spotify

本編を観ていたら分かる通り、この河川敷での交戦は真の敵勢力である牙斗螺(きどら)がドラッグの売買をやりやすくするため、2校で潰し合うよう仕向けたことで起きたものでした。本来の闘う理由が存在しないにもかかわらず起きてしまった喧嘩だったわけです。

お互いに強い意志を携えて闘ってはいるものの、それが徹底的に行き違ったままぶつかり合う鬼邪高と鳳仙、そして楓士雄と佐智雄。【何のために戦って/何のために散っていく】と嘆くように繰り返すこの歌は、劇中の言葉を使えば“大義が無い”この闘いの空虚感をより深めるように鳴らされます。

この曲で映画の空気が一変する上に言葉がすごく耳に入って来る曲なので、初見の時は若干驚かされました。ただしそこからあの映像の色合いとカメラワークに惹きこまれていく間に何となく腑に落ちていくという、ハイローらしい説得力があったのも印象に残っています。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「FIRED UP」

『HiGH & LOW THE WORST』のクライマックス・希望ヶ丘団地戦の後半では、オロチ兄弟の二人と鬼邪高校・定時制メンバーらが全日制メンバーの手助けに来ます。そして定時制メンバーを率いた村山良樹の台詞「行くぞテメェら」を合図に流れ始めるのが「FIRED UP」であり、イントロのギターリフです。

FIRED UP - song and lyrics by THE RAMPAGE from EXILE TRIBE | Spotify

このシーンは映像、音楽ともに作中において“轟洋介による投石シーン”と一、二を争う痛快さが感じられる瞬間でもあります。いわゆる“勝ち確BGM”とも言えますね。

この「FIRED UP」はAメロからサビ終わりまでの1コーラスを通してじわじわとテンションを高めて推進力を増していくという、性質として「Top Down」や「Do or Die」に近しい楽曲(特に後者)と考えています。そしてこの曲のビートとテンポ感、音の厚みはおそらくアクションシーンとの親和性が高い。

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アクションシーンを集めたスペシャルトレーラー(↑)にもこの曲が使用されているんですがこの動画、カット割りのテンポの良さと村山さんの動きに対する音ハメ具合があまりに気持ちが良く、公開された時から好きでした。当時はこの映画のために頻繁に劇場へと足を運んでいましたが、加えてこの動画だけでも何度も見返していた記憶があります(私が村山さん及びFIRED UPという楽曲自体を好きすぎるという理由もありますが)。

ちなみに、最近はあまり無いですが、2020年~2021年のTHE RAMPAGEのライブにおいて「FIRED UP」はかなり頻繁にセットリストに組み込まれていました(各ライブレポートを確認したところ7月(夏のアベマLDH祭り)、9月(IMAGINATION)、10月(INFINITY“HALLOWEEN”)、12月(BEYOND THE BORDER)、カウントダウンライブと少なくとも2020年の『LIVE×ONLINE』では全公演で披露されていました)。アップテンポな曲が続くセクションの繋ぎ目として挿入しやすいのだろうな、と当時から推察していましたが、要は劇伴的なループ感覚もありつつ聴き手のテンションを高めていける曲なのだと思います*17

数原龍友「Nostalgie」

GENERATIONS・数原龍友さんにとって初のソロ曲だったバラード「Nostalgie」。希望が丘団地戦の終結と、新太を巡るメインストーリーの収束を告げる歌です。

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Nostalgie - song and lyrics by 数原龍友 | Spotify

『HiGH & LOW THE MOVIE』における今市隆二さんの「FOREVER YOUNG AT HEART」のような位置づけですね*18

日だまりの中を歩いていく幼馴染み6人の大団円を、ゆったり流れるようなメロディと柔らかい歌声が優しく包み込みます。日本語詞を常に明瞭かつ滑らかに響かせるという、歌謡を歌う数原さんの魅力が遺憾なく発揮された楽曲です*19。特にメロディの展開に合わせて切り替えられるファルセットの美しさ、伸びやかさは面目躍如と言えます。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「SWAG & PRIDE」

『HiGH & LOW THE WORST』のメインテーマ曲。

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SWAG & PRIDE - song and lyrics by THE RAMPAGE from EXILE TRIBE | Spotify

劇中では鬼邪高校に初登校した楓士雄の一番最初のアクションシーン、河川敷での対・鳳仙学園戦の開幕(楓士雄が『行くぞテメェら』を言う)シーン、そして物語のエンディングの合計3回かかります。

2段階あるギターリフ、ダンスミュージック的なテンポと歯切れの良い音色、鋭くも華やかに展開するメロディ……それこそ『HiGH&LOW』としての派手さに『クローズ』『WORST』としてのロックテイストがミックスされたような、キャッチーなロックチューンです。

この曲の特徴は音の厚み、広がり、メロディ、歌声が作り出す華やかさとダイナミクスにあります。ビート音からして華やかで、曲を部分的に切って貼っても全編で躍動感が得られるようになっており、アクションシーンにおいてもキャラの登場シーンにおいても映える。ここまでに挙げた様々な楽曲と比較しても、やはりこれ以上なく主題歌に相応しい楽曲であると感じます。

加えて、川村さんを中心に置いたスリーボーカルのコンビネーションや、激しくかつキャッチーなダンスパフォーマンスなどは“THE RAMPAGEのロック表現”の決定版と言っても過言ではないと思います*20。とにかく彼らの持ち味との親和性が高く、安定感がみられる一曲です。

とはいえ、ここ1~2年のTHE RAMPAGEは曲調もパート構成もそうした一つの定型から脱しようとしている感もあります。さらに、そうした模索がある形で結実したのが「THE POWER」や「Fallen Butterfly」などの楽曲なのではないかとも考えていますが、それについては以下の項で。

ベースと声による圧力へ――『HiGH & LOW THE WORST X』の楽曲

続編である『HiGH & LOW THE WORST X』の楽曲を聴いてまず印象的だったのは、ユニゾン(合唱)が格段に増えていたことです。

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特にメインで使用されている「THE POWER」「RIDE OR DIE」をはじめ、「Slam That Down」「WARRIORS」など、前作と比べるとボーカルのユニゾンだったりシャウトだったりと、複数人の声が積み重なる箇所が明らかに多くなっている。

これについては現代的なヒップホップのビートや音と音の分離感が強いクラブ向きのサウンドが今作で増えたことを踏まえ、それらの音の中にアクションに映える迫力と厚みを加えるため、またその上でエモーションを表現するため“人の声の力”を求めたのではないか、と推測しています。

また、比較するとロックは主にギターやドラムのシンコペーションによるヨコ向きの力(=推進力)、ヒップホップは主にビートによるタテ向きの力(=圧力)が働くのだな、と実感しました。今作は楽曲に合わせて盛り上がりを作るのがかなり難しく、アクションの音ハメに大変苦戦した、という話が平沼監督のインタビューでありましたが*21、おそらくそうしたグルーヴの方向性の違いによるものなのでしょう。

なお、主題歌の「THE POWER」「Fallen Butterfly」は公開日の2日前にシングルとしてリリースされましたが、それ以外の楽曲については現状全てがリリース未定です。『HiGH & LOW THE WORST』の時は公開日には全曲配信されていたんですけどね…。

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【2022.11.28 追記】

※『HiGH&LOW THE WORST』、『HiGH&LOW THE WORST X』の楽曲を収録したベストアルバム『HiGH&LOW THE WORST BEST ALBUM』の発売が発表されました!

発売日は2022年12月28日とのことです。(詳細↓)

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【2022.12.26 追記】

アルバムの先行配信がスタートしました(↓)。

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そのため一部楽曲は事前に公開されていた動画に入っている1コーラスのみの紹介になりますが、一曲ずつみていきます。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「THE POWER」

『HiGH & LOW THE WORST X』メインテーマ曲。

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THE POWER - song and lyrics by THE RAMPAGE from EXILE TRIBE | Spotify

前作から今作へのサウンド面での変遷に関しては「SWAG &PRIDE」とこの曲を比較するのが最も分かりやすいと思います。歪みギターを中心とした華やかで多層な音のかわりに鋭いシンセベースと高らかに鳴るビート、そして声、という三要素に凝縮された音がインパクトを与えます。

前作のようなバンドサウンドを求めていたことにより肩透かし感や物足りなさを感じる人も居たと思いますが、個人的にはこの装飾を抑えたアレンジにはTHE RAMPAGEらしいソリッドな魅力を感じます。この音抜けの良さがライブでも映えるし、今のスリーボーカルの表現力も引き立っている。

あと、映画を通して聴けば聴くほどこの曲の無骨さや真っ直ぐさが好きになっていってしまう。「THE POWER」という言ってしまえば身も蓋もないタイトルな上、曲中も頭から何度も“THE POWER”と繰り返してくる、今時こんな一本気で勝負してくる曲ある?そしてその愚直な表現がこれほど似合うボーイズグループもなかなか居ないんじゃないか?などと思ってしまう。

以前に「FAST LANE」のパフォーマンスを指して「ミドルテンポで力強く踊る曲が体力的に一番ハード」とメンバーの口から語られたことがあったと思うんですが*22、この曲も1サビと3サビを担当した藤原樹さんによると「相当キツくて、息もできないくらいの振付」「とにかくみんなを疲れさせるような振付*23」なのだそうです。

総じて、サウンドとしては洗練されているにもかかわらず、少しツッコミたくなるような特徴もある楽曲を、あくまでTHE RAMPAGEらしいパフォーマンススタイルによって全力で表現する…という実直さに好感を覚えます。また、そうした魅力が何処となくハイロー作品にも通じる、とも感じる。

映画本編では冒頭、クライマックスのアクションシーン、エンディングと3回かかりますが、その位置づけがちゃんとしっくりくる所以は曲調や演出だけではなく、そうした楽曲の性格的な部分も無関係ではないのでないか…と考えています。

MA55IVE THE RAMPAGE「RIDE OR DIE」

瀬ノ門工業高校・江罵羅商業高校・鎌坂高校からなる“三校連合”のテーマ曲。

THE RAMPAGEのパフォーマー5人によるラップユニット・MA55IVE THE RAMPAGEにとっては記念すべき初タイアップでもあります。

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位置づけとしても似ていますが、鳳仙学園の「Top Down」のようにイントロからぐっと惹き付けるようなインパクトがあり、映画の冒頭から三校連合の登場&アクションシーンを印象づけています。「THE POWER」と並ぶ重要な挿入歌として機能している楽曲です。

MA55IVE THE RAMPAGEはこれまで、メンバー自身が愛好するトラップなどのシンプルかつ不穏に展開するエモーショナルなラップミュージックを制作・発表してきました。

5 - Single by MA55IVE THE RAMPAGE | Spotify

また、そうした音楽性をもってTHE RAMPAGEとしてライブの中で実験的なパフォーマンスを継続し、本体であるグループとは一種異なる色味を発してきた人達でもあります。そんな彼らがTHE RAMPAGEの「THE POWER」と対となるようなヒールの楽曲を担うというのは、考えてみれば納得の起用です。

攻撃的なテイストは「Determined」や「GO HARD(音源未発表)」のようでもありますが、それでいて既発の作品とは決定的な違いを感じさせられる曲でもあります。これは以前『THE SURVIVAL 2022』感想記事でも書きましたが、サビまでの展開のしかたやメロディが非常にラップロック(ミクスチャーロック)的なのです。神谷健太さんがはっきりとボーカリストとしての歌メロ歌唱を担当していて、それが楽曲におけるアクセントになっている点も印象的です。

三校連合はそもそも人数が膨大なので、彼らが登場するシーンはおのずと絵的に大規模なものになります。この曲が従来のMA55IVEの作品と比較するとスケールが大きく、なおかつ直情的な盛り上がりをみせるよう仕上がっているのは、そうした事情を考慮してのことなのかもしれません。さらに言えば、その目的のためにより華やかに派手に、と取り入れられた音色やフレーズから、自然とラップロックのような仕上がりになったのではないか?とも想像しています。

BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「We never die」

今回『クローズ』『WORST』から満を持して登場してきた鈴蘭男子高校のテーマ曲。BALLISTIK BOYZに関しても、楽曲が映画の挿入歌として使用されるのは初めてのことですね。

まず耳に飛び込んでくるのがこのメタリックなギターフレーズ。

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近作の傾向を考えるとちょっと驚いてしまうようなヘヴィロック×ヒップホップ×ダブステップな一曲。テイストとしては「Blow Off Steam」「BADDEST FIRE」あたりが近いかと思いますが、こんなに分かりやすくダブステップをやっている曲はLDHでもなかなか珍しいし*24、何よりギターの歪みの深さとドラムの重量感がBALLISTIK BOYZの作品としては非常に新鮮です。

松井利樹さんの低く太い声から始まるのは音像からして大正解という感じがしますね。ラウドっぽく刻まれるギターに奥田力也さんの声が乗り、海沼流星さんへとパートが渡ると同時にビートが軽くなり語数が詰まる、こうした緩急のつけ方も絶妙だと思います。

さらにそこからビルドアップ部分で歌メロおよび加納さんの声が来るので少しキャッチーになりますが、その後はドコドコ鳴るバスドラムの上で明確に“がなり”を加えた日高竜太さんの声がサビへの盛り上がりを作っていきます。個人的にここの2人は何処となく、元々の声質のキャッチーな部分を(他の曲と比較すると)削ごうしているようにも感じます。ひたすらに新鮮な声音。鈴蘭高校生は『クローズ』の世界にいる人達なので、よりソリッドな印象に留めようという狙いもあるのかもしれない*25

それとエンドロールで確認した限り、作詞はJAY'EDさんとP-CHOさんでした。言われてみると奥田さんと海沼さんのパートの語数を詰める感じは、なんとなくP-CHOさんっぽさがありますね。

THE RAMPAGE「Slam That Down」

三校連合のひとつ、鎌坂高校の氷室零二と楓士雄のタイマンシーンで流れる曲。

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ところどころでスライドベースを取り入れた攻撃的なサウンドと、ロディアスな展開。この取り合わせ自体はTHE RAMPAGEらしいなと思いますが、冒頭のシタールか何かを歪ませたようなリフと要所要所で挿入されるシャウトが今までにない趣を作り出しています。この曲調に対してこの比較的ゆったりめな譜割りとテンポ感というのも、何となくTHE RAMPAGEの楽曲としては新鮮な印象があります。

この曲が流れるシーンでフィーチャーされている氷室零二はいわゆる戦闘狂的な性格で、“喧嘩はどんな手を使おうが勝てばいい”を信条としており*26、タイマンでも集団戦でも武器の使用を厭わないという徹底したヒールキャラです。この曲の若干意表を突くようなイントロと狂騒的なアレンジは、楓士雄と対峙する氷室零二のそうしたキャラクター性と共鳴しているように感じます。

まだ配信されていないので現状確かめる術がなく、記憶が頼りの情報で申し訳ないんですが、試写会ライブで披露された際にはDメロで陸さんの高音が大活躍していた記憶があります。早くフルで聴きたいですね。

DEEP SQUAD「Pouring rain」

三校連合の奇襲により、鬼邪高全日制メンバー達が窮地に立たされる場面で流れ始めるバラード。

DEEP SQUADはこれまでにも『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』の「Good Love Your Love(ドラマ)」「Gimme Gimme(劇場版)」、また『劇場版 抱かれたい男1位に脅されています。』の「変わりゆくもの変わらないもの」など、作中人物の感情を的確に描写したテーマソングによって国内外の作品ファンから定評を得てきた人達です。

また、今回の「Pouring rain」ではDEEP SQUAD名義ではあるものの、宇原雄飛さんと杉山亮司さん、そして瀬ノ門高校・津田沼役として出演もしている比嘉涼樹さんの3人で歌唱しています*27

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映画前作における「DON'T」と同じような位置づけの楽曲ですが、ピアノのイントロから始まり少しずつ情景が大きく広がっていくような展開は、どちらかというと『HiGH & LOW』本章の「Break into the Dark」を思い起こさせます。

サビでストリングスが重なりぐっと厚みが増しますが、ほどよい抜け感もあり、3人の歌声の個性がはっきりと伝わる。その爽やかな聴き心地はトラックの洗練性を大事にしているDEEP SQUADらしくもあり、また高校生同士のぶつかり合いに的を絞った今作のムードにも合致しています。

また、試写会ライブの時点では歌唱のみでしたが、先日のDEEP SQUADによるワンマンライブ『DEEP SQUAD SPECIAL LIVE 2022 "VIVA DEEPER!!!!!!"』ではこの「Pouring rain」は、3人によるダンスパフォーマンスとともに披露されていました*28。3人はLDH主催のオーディション『iCON Z』第二章に参加しており、現在も日々ダンスレッスンに励んでいるようなので、今後は彼らのダンスを観られる機会も多くなっていくのでしょうね。

PSYCHIC FEVER from EXILE TRIBE「WARRIORS」

「WARRIORS」は映画のクライマックスの舞台・瀬ノ門工業高校の体育館へ、楓士雄たちが乗り込んでいくところから流れ始めます。つまり、最終決戦の合図となる楽曲です。

今年の7月にデビューしたばかりのPSYCHIC FEVER。個人的にはEXILE TRIBEグループのサポートダンサーやOAとして地道に活動している姿を多少なりとも見ていたため、映画館で彼らの歌声が流れたときには感慨深い気持ちになりました。

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シリアスなオルタナティブロックのサウンドにヒップホップを掛け合わせたようなミクスチャー感覚があり、『HiGH & LOW THE WORST X』からの新規楽曲の中では特にロック要素が強い一曲。【すべてを賭けHIGH & LOW】【あの空に高く届くまで】などの歌詞は他の楽曲と同様、この闘いの根幹にあるマインドを表現しています*29

現代的に洗練されたヒップホップとR&Bが中心のPSYCHIC FEVERとしては王道なロックサウンドがかなり新鮮に感じられますが、パートの構成が相変わらず良いです。冒頭のJIMMYさんから、小波津志さん↘渡邊廉さん↗WEESAさんと細かく分かれている部分で緩急がつき、ぐっとロック色が強まるBメロに向かっていく流れは巧妙です。

Tokyo Spiral」や「Choose One」でもそうでしたが、半田龍臣さんの輪郭がはっきりしていて安定感のあるフロウとタイム感は、音のテンションの昂りを調整して抜け感を作ってくれる印象があります。BALLISTIK BOYZでいうと奥田さんのようなイメージ(『We never die』の奥田さんとこの曲の半田さんはポジションも似ている)。この曲のようなボーカルとラッパーが掛け合いをするラップロックでも、ギターの刻みに程良いドライブ感が与えられているような気がします。それとまだ配信されていないのでこれも記憶している限りですが、サビの小波津さんのエモーショナルな叫びと、Dメロの渡邊さんが歌う“WARRIORS”のフレーズの響きの違いも面白かったです*30

RIKU 「Stand by you」

三校連合に対抗するために力を合わせた鬼邪高校、鳳仙学園、鈴蘭高校の連合チームによって追い詰められ、体育館で取り囲まれた瀬之門工業高校の天下井公平と須嵜亮。しかし、ここまで黙して天下井に仕え続けてきた須嵜はそれでも屈しようとせず天下井の盾となり、楓士雄との一騎打ちに挑みます。

そこで流れ始めるのが、THE RAMPAGE・RIKUさんの初のソロ楽曲である「Stand by you」。物語のクライマックスを盛り上げる重要な一曲です。

なお、先日放送された『KURUNE -next music live-*31』にゲスト出演したRIKUさんのトークによると、前作『HiGH & LOW THE WORST』でも自作の楽曲をコンペに出していて、そこでは落選していたそうです。今回は逆に制作側からオファーを受けて決まったそうなのですが、念願叶っての仕事ということですね。

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前作の「Nostalgie」のように物語を終焉を飾るバラードではなく、ストリングスとエレキギターがラストバトルの緊迫感や痛切な感情を描いていくミドルバラードです。

それぞれに引けない理由、闘う理由を持つ楓士雄と須嵜が、互いに満身創痍の状態でぶつかり合う。そんな闘いの中で流れるRIKUさんの温かな歌声は、仲間に対する覚悟と信念を真っ直ぐ、かつ雄弁に綴っていきます。

RIKUさんは昨年から今年にかけて『ETERNAL』『天使について』『ETERNAL2』と、グループ活動と並行して舞台やミュージカルの経験を積んできたことで、明らかに歌唱力が進化しました*32。より具体的に言うと、以前から備わっていた表現力や声量やスタミナなど各能力のさらに根底に非常に強固な基盤が出来上がった、と自分は思っています。深い抑揚があり、豊かな感情表現があり、また没入を妨げるような不安定な箇所がほとんどない。ソロアーティスト、また俳優としての今後の動きも楽しみにしたいですね*33

川村壱馬×吉野北人×中本悠太×三山凌輝「Wings」

メインキャストである川村さん、吉野さん、中本さん、三山さんによるコラボレーション楽曲。前作の「Nostalgie」のように、戦いの終わりに流れる穏やかなポップバラードです。個人的にこれまではBE:FIRSTについてもNCT 127についても、楽曲は聴いていたものの個人個人の声を識別しながら聴き取ることはしてこなかったので、この機会にお二方の歌声を聴いてみることにしました。

まず三山さんはトーンが高く、声が非常によく通る方ですね。4人で出演していた『MUSICBLOOD』で歌っていた*34ONE OK ROCKのTakaさんを連想させる、研がれた刃物のようにシャープな声をされています。

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これは2020年の動画なので、BE:FIRSTのオーディションより前ということになりますね。『THE FIRST』は未見ですが、21~22歳でこれほど明瞭な個性とスキルを持った方が出てきたらそりゃあ拾い上げたくなるだろうな、と思います。

そして中本さん、元々J-ROCKやJ-POPへ愛着のある方だそうですが*35、その影響なのか、声の響きの中に何となく親しみやすい素朴な色味があります。低音部分の艶っぽさも魅力的です。

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ただ、楽曲によっても印象がかなり変わるのだな、と少し驚いたのがこのカバーにおける柔らかく滑らかな歌声*36。もしかすると「Wings」の歌唱の方は、須嵜亮というキャラクターを意識して、素朴さや男性的な艶っぽさを多めに出しているのかな…とも思いました。

「Wings」の話に戻ります。

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こういう王道なポップバラードで川村さんが歌い出しを担当するのは何気に新鮮に感じます(おおむね吉野さんが多い)。まだ配信されていないので全体でみると厳密には異なる可能性もありますが、パートを大枠で分けたら川村さん・吉野さん/中本さん・三山さんと2:2で対応するような構成になっています。本編のストーリーやキャラクター同士の関係を深く知れば知るほど、その対比が味わい深くなるよう作られているわけですね。

実際、あの体育館で横たわる天下井と須嵜の2人がお互いの方を向き合う瞬間、三山さんが【僕のため君が】、中本さんが【君のため僕が】と歌うフレーズが流れるという演出は、観る度にグッとくるものがありました。そこも含め、既にネット上では様々に考察されているようなので、興味のある方は見てみて下さい。自分なりの「Wings」解釈を見つけよう。

THE RAMPAGE「Fallen Butterfly」

『HiGH & LOW THE WORST X』エンディングテーマ。エンドロールの後半に流れる曲です。

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Fallen Butterfly - song and lyrics by THE RAMPAGE from EXILE TRIBE | Spotify

やや性急なシンセリフとともに【天上天下/上も下もない】など作品の根幹にあるメッセージが歌われていて、“終わり”というよりは“つづく”を意識させるエンディング。前半に流れる「THE POWER」とある種の対比にもなっています。

「Slam That Down」もそうですが、この曲のようなトラップも今までありそうでなかったですね。ただ、それでいて川村さんのクールで艶のあるラップが基調となり、優美で繊細な吉野さんの歌声とのギャップがあり、その間でRIKUさんが厚みのある豊かな歌声で橋をわたす、このボーカルラインは少し懐かしく嬉しいリスニング感覚があります。これ、従来の楽曲にあったスリーボーカルの持ち味なのではないかと。3人とも個性が出ていて良いんですが、サビの【We’re Fallen Butterflies】などRIKUさんのシンギングラップ的な歌唱が特に良い緩急を生み出しているように感じます。

たしか試写会ライブの時点ではダンスパフォーマンスは無かったと思いますが、この歌にダンスが加わった時の迫力やパンチ力は非常にライブ映えするものになるのではないかと期待しています。そしてカップリングとして影に隠れるには少しもったいない楽曲であるとも思いますが、ライブチューンとして今後活躍していってほしい。

おわりに(+おまけ・『6 from HiGH & LOW THE WORST』の楽曲)

『HiGH & LOW THE WORST X』関連楽曲のフルバージョンでの配信を悠長に待ちながら書き進めていたら、未配信のまま公開が終了していくという予想外の事態になりました。この記事も少し今さら感はありますが、一部地域では公開中の劇場もまだあるようですし、少しでも何かの参考になれば幸いです……。

また、ここでおまけとして映画『HiGH & LOW THE WORST』の後日譚であるドラマ『6 from HiGH & LOW THE WORST』の楽曲について少し触れます。内容に賛否両論あり、映画と比較するとネット上で話題に上がることが少ない作品ではあるのですが、実は主題歌や挿入歌については良曲が揃っています。

エンディング曲の『タイムカプセル』はキラキラしたシンセに乗る数原さんの歌声が瑞々しく美しいポップバラードだし、

タイムカプセル - song and lyrics by 数原龍友 | Spotify

DOBERMAN INFINITY「SO WHAT」はドーベル節が炸裂していて【誰の目も気にしないで/今夜だけちょい悪ベイベー】のフレーズがクセになるライブチューンだし、

SO WHAT - song and lyrics by DOBERMAN INFINITY | Spotify

メインテーマの「6 -Six-」はサビの穏やかで切ない合唱が胸を打つバラードです。

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これはSNSでも何度か言ってるんですが、この「6 -Six-」のMVがすごく良いんですよ。ドラマとは完全に切り離された内容で、成熟した大人のグループとしての信頼関係と静かな覚悟が感じられる作品になっている。最初から見ていくと特にラスサビの光の演出がじんわりと染みます。是非見てみて下さい。

映画に話を戻すと、そもそも私という人間にとっては、LDHアーティストの魅力を深く知るきっかけとなったのが映画『HiGH & LOW THE WORST』であり、その主題歌と挿入歌でした。今思えば、映画の作風に合わせて作られた楽曲のテイストが自分の嗜好にバッチリと合っていた、という幸運もこの現在に繋がっていたのだとわかります。

そんな思い入れの強い作品があった上での『HiGH & LOW THE WORST X』。この作品における音楽面での変化と拡がりは自分にとって非常に面白く感じられたし、また各楽曲・各グループの個性や特性の出方についても強く興味を惹かれました。そこで改めて前作を含めて振り返っていきながら、自分なりに文章としてまとめてみたくなったのです。この機会にとNCT 127やBE:FIRSTにも少し触れることが出来たので、今後より深く知っていけたらと思っております。

長くなりましたが、読んで下さり、ありがとうございました!

*1:日経エンタテインメント!2022年10 月号、P.21より

*2:全くないわけではないですが

*3:リフ:曲中で繰り返し奏でられる印象的なフレーズのこと

*4:※本来は被害者なのに踏んだり蹴ったりでかなり気の毒な人達

*5:GENERATIONSファンにとっては親しみ深い“BPM128”の詞にもある通りエレクトロハウス系によくあるテンポです

*6:ちなみにこれ以外に『HiGH & LOW THE WORST』のアクションシーンで使用されている楽曲(インストを除く)はもう少し遅く、全てBPM100前後に収まっています

*7:映画以外ではドラマ『HiGH&LOW THE WORST EPISODE.O』第5話と、『6 from HiGH & LOW THE WORST』第1話でそれぞれ一瞬だけかかります

*8:『HiGH & LOW』シリーズの主人公・コブラが率いる山王連合会のテーマ曲

*9:鬼邪高校のテーマ曲。この曲は『HiGH&LOW THE WORST』でも活躍してます

*10:一音ずつ鳴らす奏法を指します

*11:2~3m下に足場がある場所だったので無事でしたが

*12:泰・清一派に何かと敵対心を燃やしている様子だったり、河川敷戦で鳳仙の頭・上田佐智雄に果敢に挑んでいくシーンだったりと、重ねて観ていくうちにジワジワ染みる味わいがあるキャラクターではあります。また続編では印象的なシーンもありました

*13:尚この曲は「Top Down」と違って『LIVE×ONLINE』での披露もなかったのでパフォーマンス未解禁の状態です。SHOKICHIさんNESMITHさんAKIRAさんの楽器演奏パターンでも良さそうだし、ダンスも可能なら見てみたいところですが…

*14:ちなみに三拍子ではなく八分の六拍子です

*15:“『HiGH&LOW THE WORST X』完成披露試写会&PREMIUM LIVE SHOW”ラスト公演、川村壱馬&吉野北人、中本悠太、三山凌輝4人でコラボ楽曲生歌披露 - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)

*16:歌い出しが奥田力也さんだったというのがまた意外性がありました。NYでボーカルレッスンも受けていたという話は聞いていましたが、BOTでのカバーといい今回といい、様々な形態とパート構成に対応できるグループであると改めて実感できました

*17:さらに蛇足ですが、『HiGH & LOW THE WORST X』序盤に出てくる鈴蘭高校校舎のラクガキには様々なグループ名や楽曲タイトルが隠されており、その中でもこの「FIRED UP」はかなり分かりやすい位置に書かれています

*18:エンディングテーマと挿入歌という違いはありますが

*19:この曲は先日、さいたまスーパーアリーナで行われたライブイベント『BATTLE OF TOKYO』内の特別企画“BATTLE OF HiGH&LOW”で久々に披露されました。寸劇やら女装やらを含む濃い演目が立て続けに披露された後、休む間もなく数原さんの立つステージがせり上がってきてこの曲が始まり、その美声によって有無を言わさずショーが締めくくられる……という流れは若干シュールでした

*20:CALL OF JUSTICE」などもこの曲の様式を踏襲していると考えています

*21:日経エンタテインメント!2022年10 月号、P.21より

*22:シブザイルだったかと…。LIVE ×ONLINEの話題に絡めてだったと思いますがソースが見つからず。もし分かる方がいらっしゃったら教えて下さい

*23:CDでーた2022上、P.025より

*24:まず思いつくのはGENERATIONSの「TRANSFORM」あたりでしょうか

*25:もう試写会ライブの記憶もおぼろげなので自信が薄いですが、この感じだと2番は砂田さんと深堀さんが歌ってるんでしょうね。配信…

*26:『HiGH & LOW THE WORST X』劇場用パンフレットより

*27:ちなみに津田沼はセリフの数こそ少ないものの、一つかなりインパクトのある良い悪役ゼリフを吐きます。そして川村さん、吉野さん、前田さん、三山さんによるオーディオコメンタリーではそのセリフが大ウケしており、シーンをまたいでも弄られ続けていました。声色と表情も良い感じにワルいので、ご鑑賞の際は是非注目してみてください

*28:【DEEP SQUAD】(ディープスクワッド)オンラインワンマンライブ『DEEP SQUAD SPECIAL LIVE 2022 “VIVA DEEPER!!!!!!”』開催!オフィシャルライブレポート - 日刊エンタメクリップ

*29:何気に“ハイアンドロー”が歌唱部分の詞に直接出てくる主題歌や挿入歌は今まであまり無かったのではないだろうか

*30:個人的意見ですが渡邊さんにはどんどん歌ってほしい気持ちがあります。あくまでご本人としてはラップがメインでボーカルはサブで入っているというスタンスのようなのですが(無論その意向も大切ですが)、良い意味でボーイズグループのシンガーっぽくない記名性を持った声だと思います

*31:THE RAMPAGE RIKU、ソロ曲「Stand by you」をテレビ初フル歌唱 EXILE MAKIDAIに苦悩や葛藤明かす - Real Sound|リアルサウンド

*32:「Stand by you」の詞や曲の趣、そして声の力強さにもどことなく『ETERNAL』の面影を感じます

*33:川村さんが映画中心、吉野さんがドラマ中心、RIKUさんは舞台。こんなにも綺麗に3人のポジションが分かれるものなのか…と驚かされることがスリボには多いですね

*34:吉野さんは尾崎豊の「I LOVE YOU」、中本さんはL'Arc-en-Cielの「HONEY」、川村さんはEXILEの「運命のヒト」、三山さんはONE OK ROCKの「Wherever you are」を披露|NCT 127 ユウタ、日テレ「MUSIC BLOOD」で韓国のアイドル生活を語る“昔は12時間くらい練習していた” - Kstyle

*35:日本にいた頃からJ-ROCKがすごく好きで。L’Arc~en~Cielさん、ONE OK ROCKさんなど、音楽はもちろん、そういったカルチャーのスタイルが好き」|NCT 127 ユウタ単独インタビュー インスタ、ラジオ……自然体な姿が放つ輝き - Real Sound|リアルサウンド

*36:幼少期から親御さんがよく聴いていた平井堅さんが好き(※参照)というのも少しわかる気がします