ミチスガラ

LDHアーティストが好き。色々書きます

BALLISTIK BOYZ『BALLISTIK BOYZ FROM EXILE』と『PASS THE MIC』と“PASS THE MIC”

Jr.EXILEによるEXILE20周年記念企画『EXILE TRIBUTE』4作品の4週連続リリースに合わせ(?)て、各グループで発売されたアルバムと敢行されたツアーについてまとめる記事、2本目。

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今回はBALLISTIK BOYZです。なおライブ感想の項ではセットリストのネタバレがありますのでご注意ください。

BALLISTIK BOYZ FROM EXILE

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*1

BALLISTIK BOYZの作品は「Heads or Tails」を除けば既にライブで何度も披露されているという、比較的なじみ深い選曲でした。ただ、このトリビュートシングルを通して聴いてみるとその楽曲群の個性の強さに改めて驚かされました。

原曲とそこからアップデートされた今回のカバーそれぞれのトラックの良さ、そして本当によく歌いこなせるな…と、安定感ある7人の歌唱とラップにも脱帽でした。一曲ずつ紹介します。

Touch The Sky

原曲は「Touch The Sky feat.Bach Logic」。元々は2007年12月発売のアルバム『EXILE LOVE』のボーナス・トラックとして初収録されました*2

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作詞・作曲を手掛けたのは、収録曲のうち「FIREWORKS」以外の全ての作曲に携わっており、今作でのアレンジとラップ詞も担当しているstyさん*3*4と、BACHLOGICさん*5。発売当時のメジャーシーンにおいては新進気鋭だったのかもしれませんが、今や絶大な信頼感のある豪華な組み合わせです。

この曲が収録された『EXILE LOVE』はEXILEの第二章、つまりTAKAHIROさんが加入してから二作目のアルバムです*6。なので当たり前ですがTAKAHIROさんの声が凄く若いですね。その若々しさを感じる響きがエフェクトの中でしっかり活かされていて、圧倒的な安定感のあるATSUSHIさんとの対比になっているのが印象的でした。

あと終盤のBACHLOGICさんのラップがめっちゃクール。

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この(↑)三連符で畳み掛けるところが特に好き。白/黒の衣装と水しぶきでダンスを見せる映像も硬派ですね。ちなみに現在の14人体制になってからも2020年末の『LIVE×ONLINE BEYOND THE BORDER』で披露されています*7

このトリビュートの曲は全てライブチューンなんですよね。そういう楽曲の勢いがEXILE TRIBEの最若手グループとしての勢いと共鳴しているように見えるし、彼らが託されたのはそうした側面なのだろうとも想像できます*8

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原曲の切れ味が、より今っぽいビートで際立たされたカバー。今作は4曲とも彼らのスタイルに合わせてラップパートが差替・追加されていて、それが一つの大きな聴き所となっています。

(原曲)*9

いつだって Keepin' on 走るスピードを緩めないで on and on
振り向かないで行こう

(カバー)*10

いつだって Keepin' on スピードは緩めないのさ On and on
走り出したら止まらない そうでしょ
100% いや テンハネ -1000%- で行こう 

原曲のフレーズや意味を踏襲してから徐々にBALLISTIK BOYZオリジナルの表現へと移行する、というこのラップ詞の意匠は「FIREWORKS」と「Heads or Tails」にも共通するところ。それと上のフレーズのように「テンハネ -1000%-」が出てきたり、海沼流星さんのパートにスペイン語が挟まっていたり*11といった趣向も楽しめます。あと2番Bメロの「That’s how we make you feel alright/I didn’t come to play ズルしないただ真剣勝負で」…と、歌メロとラップが交錯する下りが個人的には一番好きです。フレーズ毎に空気が入れ替わるという緩急がカッコいい。

それと終盤のラップパートは完全に新しく書き下ろされていて、ここがまた熱いフレーズの連続。自分が特に印象的だったのは最後の部分でした(↓)。

勝手決めないで Gen Z
Just keepin' it real 定義ない正義
Survivin' tuff times どの時代も同じ Spirit 受け継いでつなぐ意志

BALLISTIK BOYZはリーダーにあたる人を定めず、7人全員が指針である意識と責任感を持つ*12、という方針をとっているグループです。かつ、そうした自主性・積極性が楽曲の質にも表れているところが彼らの魅力ですが、そんな彼らにこの詞はとてもしっくりくる。

世代観ベースでの語られ方から距離を取った上で“受け継いでつなぐ意志”。あくまで共鳴するものがそこにあるからこその“継承”であるという表明は、実にBALLISTIK BOYZっぽい。粋ですね。

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MVもグループの個性を反映したオリジナルのモチーフや演出に富んでいます。それにより楽曲の中の静と動、もっと具体的に言うと“不動”“躍動”が視覚的に鮮やかに感じられます。

メインカラーになっている赤色は“EXILEの血を受け継ぐ”ことの表象なのだそうですが*13、それこそ血が滾っているかのような円形ステージ上の激しいパフォーマンスと高速のカメラワークという原曲オマージュを、それぞれが入れ替わり立ち代わり演じるところにもBALLISTIK BOYZの特性が表れています。

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そうした躍動感あるシーンに加えて合間に挿入されるラップパートがあり、そこで彼らの併せ持つ“不動”の迫力が伝えられる。そうした二面性がこのカバー及びリアレンジの大きな魅力なのではないかと自分は思いました。

FIREWORKS

原曲は2009年7月発売のシングル表題。ラップでDOBERMAN INC(現:DOBERMAN INFINITY)が*14、三味線で吉田兄弟*15が参加しています。作詞/作曲にmichicoさん、作曲にT.KuraさんというLDHファンにとっては大変馴染み深い組み合わせ*16

なお「FIREWORKS」の前後には「Someday」「ふたつの唇」など今でも人気のある代表作が発売されており、これらと同時期のアルバム『愛すべき未来へ』には「Ti Amo」や「Heavenly White」等も収録されてます。「これまでのキャッチーな曲とは違う部分が出れば」という狙いもあり*17この「FIREWORKS」が作られたそうなのですが、歌謡的メロディとEDMな展開、今聴いてもカッコいいですねー。発売当時まだ中学生だった日髙竜太さんも「かっこいいな」と思って好んで聴いてたそうです*18

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大橋のぞみさんによる「時は戦国、」という語りから始まるMV。豪華な衣装とセットによる和が強めの和洋折衷の世界観、炎と水のCG、ああEXILEだなー!という情報量の多さ。個々人のビジュアルがそのド派手さに負けていないのがつくづく凄い。曲の歌詞は“君”に恋焦がれる熱情を歌っている感じですが、MVは“火のチーム”と“水のチーム”がバトルするというHIROさんのアイディアを元に作られているそうです。

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カバー版は新規のラップパートが書き下ろされている他、細部でバランスが調整されています。このトリビュートシリーズ、楽曲によっては今っぽくミニマルなアレンジに変わったものも結構ありますが、この曲はどちらかというと原曲の魅力をそのままによりパワフルになった印象です。個人的に面白く感じたのが、日髙竜太さんの「視線を奪い離さないネオンの花」とその後の加納嘉将さんの「闇を照らし魂を揺さぶる光」の聴こえ方の差。前者の“さ行”の子音の影響も一因かと思うんですが日髙さんの重ねられた声、ブレスが風の音のように大きく聴こえてくる。加納さんのパートは比較的スッキリとして聴こえるので、その差がそれこそ火と水のようで(全然関係ないと思いますが)。二人ともパワフルさが持ち味という共通点はありますが特性が全然違うな、と改めて思いました。あと「風が吹いても Self ignition が作動」~という語感もメロも印象的なフレーズを美声の砂田将宏さんが歌うことで歌謡性がより際立っている気がしました。

そしてラップパートで一番最後の「触れるな火遊びは Danger/これはガキのお遊びじゃねーんだ」…のパンチラインをしっかり原曲から持ってきてるのが熱いなーと思います。何気にD.Iをカバーする彼らの声がここで初めて音源化したことにもなるのか、とも思いました*19*20

THE NEXT DOOR

原曲はゲーム『ストリートファイターIV』のテーマソングおよび映画『ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー』日本版主題歌として2009年2月に配信シングルで発売され、後にアルバム『愛すべき未来へ』に収録されました*21

また、シングル内でこの曲のカバーだけは他の3曲と異なり「PKCZ® feat. BALLISTIK BOYZ」名義、かつPS4/PCゲーム『ストリートファイターV チャンピオンエディション』の公式大会『CAPCOM Pro Tour Online 2021』のテーマソングとして、早くから公開されていました*22

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バンドサウンドとエレクトロが融合していて、ロックチューンだけど踊れるテンポ感と展開の原曲。あと“限界を超えるための自分との戦い”という勇ましい詞*23も含めて、EXILEらしいアッパーチューンという印象です。

(↓PKCZ® feat. BALLISTIK BOYZ『THE NEXT DOOR』が流れる大会公式トレーラー)

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EDMの要素が大幅に濃くなり近未来感のある音色がフィーチャーされたカバー。新たに作られたラップ詞はBALLISTIK BOYZの楽曲でもお馴染みのZERO(YVES&ADAMS)さんが手掛けていますが*24、ここもまたスペイン語と「1000%-テンハネ-」が登場しておりBALLISTIK BOYZとしてのオリジナリティが表現されています。あと「The last man standing」というフレーズがめちゃめちゃストリートファイターっぽくて良いですね*25BALLISTIK BOYZの楽曲より比較的キーが高め、かつ原曲よりもファルセットへ移行する箇所が少ないのもあって、歌声が力強く聴こえてくるところが特に印象的でした。

Heads or Tails

※この曲だけ入れ込みたい話が若干多いため、特に長いです。すみません。

今作ではダントツで新しい、2018年7月発売のアルバム『STAR OF WISH』のリード曲。ATSUSHIさんの提案で急遽このトリビュートに収録することが決まったため、4曲の中では一番最後にレコーディングしたそうです*26

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この曲はJr.EXILEファンの間でも特に人気が高い印象があります、私も大好きです*27。styさんとDirty Orangeさんという信頼の制作陣*28。所々で和風ファンタジーのような趣もありつつ熱い闘志を情感込めて描き切る詞とメロディ、アジアンテイストな音色、インパクトの強いシンセのフレーズなど、EXILEに似合う力強さとポップスとしての歌謡性とダンスミュージックとしてのノリの良さを同時に成立させたライブ定番曲です。

ちなみに2020年末の新生EXILEによる『LIVE×ONLINE BEYOND THE BORDER』でもこの「Heads or Tails」はパフォーマンスされていたんですが、その時はDOBERMAN INFINITYから曲が始まっていました。その前の「24karats TRIBE OF GOLD」でサプライズゲストとしてMCの4人が登場した後、スローなInterludeが始まり新たにKAZUKIさんが登場して歌唱。そして“ライブ会場での再会”を誓う内容の静かで熱いラップパートがあり、そこからSHOKICHIさんとNESMITHさんの歌唱へ繋がっていく…という流れで*29

(↓該当のシーンは無いですがその時のHeads or Tails、長尺の間奏から。円盤化してくれ~)

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その後、2021年の有観客ライブツアー『RISING SUN TO THE WORLD』でトップバッターを務めた際にもこの曲は二曲目に披露。冒頭の演出はSHOKICHIさんとNESMITHさんのラップと歌唱によって「失われた時間 取り戻す旅へ共に行こう/この瞬間を待ってたんだ」と締めくくる新しい内容で引き継がれていました。

(↓『RISING SUN TO THE WORLD』のHeads or Tails、こちらは逆に冒頭部分のみ)

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現在のEXILEは3人の歌声とSHOKICHIさんの楽曲によってロック色が強まっていることもあり、この音楽性と迫力が非常によく似合います。何より楽曲の持つ熱量と“ステージに賭ける闘志”を伝える詞のメッセージ性、これらがEXILEのライブで“今”表現するものとして求められているのだろうし、様々な思いがそこに託されているのだろうと想像しています。

というわけで新生EXILEにおいても重要な一曲である「Heads or Tails」ですが、BALLISTIK BOYZがカバーすると知った時の期待感は非常に大きかったです。全く別ものになるであろうことも歌声が良いことも判っていたので。実際、期待以上の内容だったので最初に聴いてから一週間ぐらい原曲と往復してひたすら聴いていました。

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あの印象的なATSUSHIさんのフェイクを踏襲しつつちょっと変えてるのが心憎い加納さんの第一声から日髙さんの「熱い光 浴びて」へ、というパワフル番長達から始まるイントロ。まずビートの違いに大興奮しました。原曲のサビで使用されていたレゲトン/ムーンバートン的ビート*30が全体で前面に押し出されて一気にダンサブルな印象に。元々のシンセだけでもインパクト大だった上に間奏のブラスの音の高揚感も加わり、熱さと力強さだけではなく、何というかもはや“祝祭”の感。ラップ詞で「天地開闢 中心に立つ」という神話的な表現もありますし。初期の代表曲「PASION」やBOTの「VIVA LA EVOLUCION」などラテン意識の楽曲、あと間奏で少し「SHOCK THE WORLD(VS FANTASTICS名義)」の間奏(↓)なども想起される。そのトラックに7人の声が乗ることで、しっかりとBALLISTIK BOYZイズムを感じられるようになっています。

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(↑BOTの“VS”曲のMVは元気が出るので休憩がてら動画を貼ります)

ボーカルとラップに関しても、海沼流星さんと松井利樹さんがそれぞれ奥田力也さんに繋いでいく各ラップパートの個性の表れ方などとにかく聴き所満載なんですが、中でもあまりに見事で感動したのが「幕が上がる」から始まるBメロ(1:03~頃)でした。

もともとメロディのインパクトが強いこの部分を、カバーでは深堀未来さん→砂田将宏さんと歌い繋ぎます。原曲はトラックだけでなく歌に関しても“力強い熱唱”のイメージが全体にありますが、対して深堀さんの歌声はあくまでしなやかで繊細。その後の砂田さんの歌声もやはり繊細、かつ澄んでいます。この美メロ番長達がBメロを歌うことによって、原曲とは全く異なる新しい印象が与えられているように感じました。カバーならではの面白さですね。

なお昨年12月には、BALLISTIK BOYZが出演した配信ライブ『ABEMA×LDH ONLINE X’mas LIVE PARTY』でこのカバーの初披露がありました。序盤からそれぞれ相当な気合で挑んでいるのが感じられた上、楽曲の力にも引っ張られて気迫が増していく、という熱いパフォーマンスになっていて素晴らしかったです。


すみません、明らかに一曲だけ長くなってしまいました。どうにも好きなもので。

それにしても、このトリビュートは先述した通りライブチューンが多い作品になっているんですが、同時に(この記事でもちょくちょく名前が出ていたように)BALLISTIK BOYZと関わりの深いDOBERMAN INFINITYの存在をなんとなく意識するような楽曲群になっていたのは不思議な偶然だな…と思います。

歌とダンス、パフォーマンス力というEXILE直系の部分だけではなくD.I直系のラップが彼らのルーツにあるということを、作品を掘り下げていく中で自然と再確認させられたような気がします。

ballistikboyz.lnk.to

アルバム『PASS THE MIC』とツアー感想――「HANDS UP」の存在について

アルバム『PASS THE MIC』は昨年11月に発売。「44RAIDERS」から「SUM BABY」までのシングルからの15曲と新録曲3曲、全18曲の大ボリューム*31。デビューアルバム以降の歩みの総集編、ある意味ベストのようなアルバムです。

アルバム新録曲(『In My Eyes』『Day Dreaming』『All Around The World』)が初披露された『PASS THE MIC』本章ツアー京都公演には私も参加していたんですが、ヤバい曲しかないやんと本当に驚きました*32

www.youtube.com「Animal」での手応えをしっかりと踏まえた上で、現行の最適解が示されたと感じた「All Around The World」。今までの最若手グループらしいヤンチャさと勢いのあるイメージから一歩進んだシックなテイストで、今まで以上に静かに強く放たれる新しい宣誓でした。MVの飾り気無い夜の路傍で踊るシーン、あと最後に第二章の幕開けを思わせる夜明けの光景の渋さに痺れました。

あとこの曲の詞には今までの楽曲に出てきたフレーズのいくつかが散りばめられているらしいのですが*33、インタビューで読んだ「It's going down」くらい断片的なワードという前提で自分が思いついたのは「New era*34、「約束の舞台*35Touch down*36、「NU WORLD」あたりでした。あと「振り返るより塗り替える最新」もなんとなく「Most Wanted」とか「44RAIDERS」あたり連想しますね。

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ボーカル陣4人によるメロウなR&Bバラード「In My Eyes」。こういうの聴きたかった!と嬉しくなった曲でした。それぞれの甘い歌唱とハーモニーで聴かせる曲ですが、甘さの種類が一人ひとり全く違うということがよくわかる。全員の歌声がしっかりと活きるバランスに相変わらず脱帽します、全フレーズ垂涎。

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軽やかで緩やかな風合いのチルソング「Day Dreaming」。ミニマルなサウンドとレイドバック感が心地良く、そこに乗る7人の声の表情もかつてないほど柔らかい。柔の曲も剛の曲も乗りこなしすぎ。サビの振付がキャッチーで記憶に残りやすい、というのもBALLISTIK BOYZの魅力の一つですが、この曲の座って踊るサビも可愛らしさがあって印象的でした。あと、海沼さんの歌うようなフロウの心地良さが活かされている楽曲だとも思います。

私が観覧した本章ツアーはこれらのアルバム新録曲と「Touch The Sky」、「DI till infinity」とともにほとんどの既発曲(一部メドレーで『Crazy for your love』と『Blow off steam』は除く)を披露する内容。序章からの積み重ねもあったからか初日から完成度が高く、充実したライブでした。

それと初めてしっかりとそれぞれの歌を聴けたので、以下当日のメモから拾っていきます。

日髙竜太さんは個性と存在感がやはり強く、ちょっとしたコーラスであっても思わず気がいってしまう位。あと途切れたり崩れたりといった“疲れ”を感じる瞬間が全くなかった。メンバー全員が認める体力*37を歌声で実感しました。

加納嘉将さんは声量や響かせ方の安定性に度々圧倒されました。歌う時の体の姿勢がいつも一定で、発声の仕方に凄くこだわりがあるんだろうな、と思いながら観ていました。常に均一かつ明瞭にフレーズが聴こえてくるのは、そうした意識や鍛錬の結果なんでしょうね。

深堀未来さんもピッチと発声が安定していて、いつもとても丁寧に歌う人という印象があります。甘さと優しさ、あと光沢感のようなものを感じさせる声なので、メロウな曲やポップな曲が似合う。「WAY TO THE GLORY」の「Wishing you 出会わずにはいられないとかとても良かった。

砂田将宏さん、記事内で既に何度か書いてますが何よりまず美しい声だなー!と思わされます。柔らかく伸びやかであり、既に美しさが一定の完成をみせているので、サビの頭や繰り返しのフレーズを担当する理由がよくわかりました*38

またMC陣に関しても、海沼流星さんは場を支配する軽妙なフロウとステージでの存在感が時々笑えてしまうほどカッコよかったし、松井利樹さんも楽曲が増える毎に様々な表情が増えて(特に『Touch The Sky』の緩急の部分はライブでもすごく良かったです)凄みを感じました。そして奥田力也さんはとにかく滑らかで聴き易い。ポジション的に砂田さんに近いような、主線の基盤を作りバランスを取るイメージがより強まりました。

印象的なシーンが数々あるライブでしたが、アルバム発売から少し経った今振り返るとやっぱりというか、ラストに歌われていた「HANDS UP」について特に語りたくなります。

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初めてこの曲を聴いた時、そういえば今までこういうEDM色の強い曲はBALLISTIK BOYZになかった!と気がつかされました。そういう意味では結構意外で、かつ新鮮でした。

しかし、ライブの最後に歌われるポップアンセムとして、そしてコロナ禍でも彼らを支えていたファンに向けたメッセージソングとしてこの曲が作られた*39、という背景を知るとこのサウンドが選ばれたのは興味深く、また感慨深かったです。

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『PASS THE MIC』ツアーにおける「HANDS UP」というのは、ファンにとってあまりにも伝わるものが大きいラストでした。「画面越しに手を振ったあの夜に/Fear of missing out/ずっと探していた答えを」という一節(上の動画ではギリギリ流れない部分)などから2020年を思い出さずにいられないし、またそれを経てきた今の彼らのメッセージに、さらに思いを寄せずにはいられなくなる。

2021年の「Animal」やアルバム新録曲は彼らの海外志向が特に如実に示された楽曲であり、そこで打ち出された音楽性はファン層を越えて支持されるほどに一線を画したものでした。しかしそれと同時にこの「HANDS UP」のライブパフォーマンスを通して演者であるBALLISTIK BOYZと観客との関係性が表されるという“体験”と“コミュニケーション”を届ける姿を観ると、そのライブのあり方には“LDHアーティストらしさ”のようなものを感じざるを得ません。その二つの魅力がそれぞれ一つのライブの中でしっかり発揮されているのも、このグループの面白い所なのではないかと思います。

とはいえ彼らは今後も進化していき、数年後にはもう違うステージに立っていて、今と異なる新しい見せ方をしてくれているのかもしれません。いずれにせよ期待できることは間違いないですし、楽しみですね。

 

ということで更新が1月後半と大変遅くなり、今更な振り返りになってしまいましたが……。

ブログの記事は後からふと思い出して読み返した時にも役に立つような読み物にするのが目標なので、しぶとく更新していこうと思います……!!少しでも記事を読んだ方に楽しんでいただけたら幸いです。

*1:BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE 「EXILE TRIBUTE」ARTIST PHOTOページ より

*2:DISCOGRAPHY | EXILE Official Website

*3:説明不要かもしれませんがEXILEの「最後の告白 〜STAY part.II〜」でデビュー後、EXILEや三代目JSBの楽曲をプロデュースする中で「R.Y.U.S.E.I.」や「O.R.I.O.N.」「Summer Madness」など、LDHにおいても日本の音楽シーンにおいても金字塔と言える作品を数々手掛けてきた方です。昨今はSSWとしても活動されてます

*4:なお「THE NEXT DOOR」のみ「lil' showy」名義

*5:DOBERMAN INC(現:DOBERMAN INFINITY)のプロデュースで注目され、SEEDARHYMESTERのプロデュースなどから世に名が知れ渡った、こちらも日本を代表するトラックメイカーです。EXILEおよびLDHアーティストへの楽曲提供は「24karats -type EX-」と「Touch The Sky」以降数々行っていて、「Each Other's Way 〜旅の途中〜」や三代目JSBの「Go my way」など名曲ばかりです

*6:I Believe」「Beautiful」「SUMMER TIME LOVE」など最近のライブでも歌われている代表曲に加えて「君がいるから」や「時の描片~トキノカケラ~」など後々Jr.EXILEによってカバーされた曲なども収録。スカパラ谷中さんが作詞を手掛けている「空から落ちてくるJAZZ」の風合いなどサウンド面での挑戦もあり聴き応えがある作品です

*7:新生EXILE、怒涛のパフォーマンスを披露!【LIVE×ONLINE BEYOND THE BORDER】 | 音楽 | ABEMA TIMES

*8:とはいえこれは全グループに言えることですが、その託された“継承”の役割というのがグループの表現を追求する上で何かの枷になるようなことがなければいいな、などと差し出がましくも思います

*9:EXILE Touch The Sky feat. Bach Logic 歌詞 - 歌ネット

*10:BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE Touch The Sky 歌詞 - 歌ネット

*11:海沼さんはデビュー時からスペイン語の学習に意欲的で、初めてMC陣が詞を自作した「HIGHWAY」にもスペイン語が出てきます

*12:EXILE TRIBE新星・BALLISTIK BOYZの個性に迫る(2) BALLISTIK BOYZ、実はリーダー不在! 深堀・海沼・日高の意外な一面とは (1) | マイナビニュース

*13:“BALLISTIK BOYZ第一章”の集大成、初対面から「変わってしまった」メンバーも?|au Webポータル芸能ニュース

*14:DOBERMAN INCバージョンとしての「FIREWORKS type D.I」が収録されたシングル『GENERATION/FIREWORKS type D.I』も後から発売されています。尚このシングルCDはもう生産終了していてサブスク解禁もされていませんが、一部の音楽配信サービスでダウンロード購入できます

*15:ポップ、ロック、クラシック、ゲーム音楽など幅広くコラボレーションしながら国内外で活躍を続けている津軽三味線アーティスト。EXILEの作品ではこの他にも2012年発売のアルバム『EXILE JAPAN』に収録のダンス・トラック「DANCE EARTH-BEAT TRIP-」に参加

*16:代表的なところで言えばEXILEの「I Wish For You」、最近の曲だとFANTASTICSの「TO THE SKY」(作曲はT.kuraさんとJAY'EDさん)など

*17:EXILE新曲イベントで赤坂に登場「皆既日食見逃した」 - 音楽ナタリー

*18:<インタビュー>BALLISTIK BOYZ「新たな目標へ進みだす」セカンドアルバムリリースでネクストチャプターへ | TOKYO HEADLINE - Part 2

*19:二組がコラボレーションした「D.I till Infinity feat. TOMOGEN、BALLISTIK BOYZ」は2019年のベスト『5IVE』に収録

*20:そのうちD.Iカバーのコンセプトシングルとか出してくれたらいいのに(注釈に願望を書くな)

*21:EXILE「ストリートファイター」主題歌で世界に挑戦 - 音楽ナタリー

*22:PKCZ® feat. BALLISTIK BOYZによるEXILEのカバー曲「THE NEXT DOOR」が「CAPCOM Pro Tour Online 2021」公式テーマソングに決定!|株式会社カプコンのプレスリリース

*23:細かい事だけど「囁いてるAnother myself」の後の「弱さ」が「Yourself」っぽく聞こえるのは狙ってのことなのか気になる

*24:PKCZ(R) feat. BALLISTIK BOYZ THE NEXT DOOR 歌詞 - 歌ネット

*25:格闘繋がりでEric Martinが歌ったPRIDEのテーマソング思い出しました。関係ないと思いますが

*26:HIROやATSUSHIのアイデアも組み込まれた『EXILE TRIBUTE』への“責任” - Real Sound|リアルサウンド

*27:男性ファンだけを集めて「男の中の男」を表現したというMVだけはストレートにnot for meですが

*28:カップヌードルのタイアップ曲だったため、CMで使用されているキャッチコピー「ヤバい、なんか熱い」にかけてタイトルを“Heads or Tails”=“HoT”にされたそうです(styさんのTwitterより)

*29:「最高の、最高の、NEW EXILE」継承・創造・進化を重ねた圧巻のパフォーマンス、新たな歴史の幕開け【ライブレポート】 | レポート | ABEMA TIMES

*30:BPM110だからムーンバートンかな…

*31:BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「PASS THE MIC」2021/11/24(Wed)Release!! | EXILE TRIBE mobile

*32:ちなみに序章は完膚なきまでにチケットが取れませんでした、悔しすぎて映像化した後もなかなか観られなかった

*33:※『月刊EXILE』1月号、他

*34:「テンハネ -1000%-」と「Most Wanted」

*35:「HANDS UP」

*36:「Blast Off」、これは微妙ですが

*37:グループの「頼れる兄貴」日髙竜太のプロフィールや自己分析は?【BALLISTIK BOYZ特集】 | ViVi

*38:Strangersの「How can I forget the times we shared?」の“shared”のライブでのフェイクが良すぎて、毎度心待ちにするようになりました

*39:【BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE】日髙・深堀・奥田編 フルアルバム『PASS THE MIC』リリース記念インタビューvol.1 - CanCam.jp(キャンキャン)