ミチスガラ

LDHアーティストが好き。色々書きます

THE RAMPAGE『THE RAMPAGE FROM EXILE』と『REBOOT』と“REBOOT”

Jr.EXILEによるEXILE20周年記念企画『EXILE TRIBUTE』の4作品が今月、4週連続でリリースされます(2作はリリース済)。

それぞれ感想をまとめたいと思いブログを書き始めたのですが、考えてみれば4グループとも「アルバム発売」「有観客ライブ復活(そして私は初めて各グループの単独ライブを生鑑賞できた)」という大きな出来事があった今年。

せっかくその締めの月でもあるので、アルバム/ライブについても一記事にまとめることにしました。リリース順に4記事。なるべく遅れすぎないように書いていこうと思います…。

まずはTHE RAMPAGEから。なおライブ感想の項ではセットリストのネタバレがありますのでご注意ください。

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ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』感想と、作品で描かれる「理解」「無理解」に関するメモ

FANTASTICS堀夏喜さんが出演している『恋です! ~ヤンキー君と白杖ガール~』(以下『恋です!』)、huluから追いかけて最新話まで観た。

出演が発表された時に原作の漫画を読んで、そこから観たんだけど、想像以上に良いドラマ。タイトルをはじめ改変されてる部分は数々あるけど、それがちゃんと良い方向に働いているというか。キャラの魅力や一話ごとのテーマが観ている人に伝わり易くなっているように思う。

途中で挟まる濱田祐太郎さんによる解説もドラマのホンワカした空気感に合っていて、なごみながら観られる。

濱田さんといえば、優勝した時のR-1を自分は観ていたし、

この(↑)テレビ仕事がなかなか来ない、というツイートも見ていたので、嬉しい起用だった。放送後の反響も大きいようで、YouTubeチャンネルでは本編の解説コーナーのネタの完全版とか、精力的に動画があげられている。いくつか観たけど面白かった。ギターがお上手。

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あと、この対談動画(↑)すごく良かった!ユキコと森生の初対面のシーン、森生の顔をユキコがいきなり触るんだけど、のっけから濱田さんがそれについて「あんなん無いですよ!」ときっぱり否定する。

ただ、その上で濱田さんは「『そんなことないやんか、でも、あったらええなぁ』と思って楽しめるのがラブコメ」と仰っていて……これ、ものすごく芯を食った言葉だな、と唸ってしまった。

とはいえやっぱり「実態とは異なる」ということをちゃんと言っておくべきだよね、という意味でこうして動画に使われてるんでしょうしね。短くまとめられた対談だけど、それ以外の濱田さんのお話も面白くて良かった。

ちなみに、あの初対面シーンについては、第1話放送直後に見かけた記事にも同様の指摘があった。

進行性の病気で弱視から全盲になったという方の感想note。

note.com

この方はこれ以降も感想をちょくちょく書かれているけど、実感に即したラフな文章で面白い。他にもTwitterハッシュタグを辿ると(ユキコと同じ弱視および視覚障害に限らず、様々な)障害を持った方の、当事者目線による多様な意見が綴られていた。このこと一つとっても、実に有意義なドラマだなと思う。

最初は、堀夏喜さんが地上波ドラマのレギュラー出演なんてすごい!おめでとう!と思って観始めたけど、もうほとんど単純に好きなドラマとして観ている(自分以外にもこういう人は多いと思う。)。堀さんと、堀さんを起用してくれた制作の方々に感謝したい。

ところで、第4話以降を続けて視聴した時に、それぞれのお話の中の重要シーンから、いくつか思い出した作品があったので、それを感想とともにまとめていきたい。Twitterでツイートを連ねると長くなりそうだったので、こちらに書くことにした。

というのが今回の記事の目的なので、ここからは第4話以降で描かれた内容に絞って書く。

第4話「はじめてのポテト」

『恋です!』第4話は、ユキコが「働き始めた森生と対等になりたい」という思いでアルバイトに挑戦する話。

いつも通っているバーガーショップで、運良くアルバイトとして採用してもらえたユキコ。自身も大好きなポテトを自分の手で作り、人に提供することができる!と大喜びでバイトに挑むんだけど、まあそう簡単にはいかない。

弱視のユキコはバックヤードの動線がわからなくて他の従業員とぶつかったり、細かい文字が読めなくて作業に時間がかかったりしてしまう。速さが命のファストフード店だし、ユキコにとって初めてのバイトだし、お店としてもユキコのような特性をもつ従業員を雇うのは初めてのこと。本人はあくまで仕事に対してマジメで一生懸命だけど、ユキコもお店側もお互い慣れない状況で歯車が合わず、どうしても従業員に不満が発生してしまう。

そうして、自分にも他人にも厳しそうな同僚・紺野さんが「障害に甘えてる」「赤座さんに特別優しくする余裕はない」とユキコに対してキツいことを言う。設備の設定を変えてほしいというユキコの要望にも「私たちには関係ないのに、ハッキリ言って迷惑です」と反発する。

この話を観ていてすぐ、知的障害の女性が子育てをする漫画『だいすき!!ゆずの子育て日記』(以下、『だいすき!!』)にも似通った展開があったな、と思い出した。

kc.kodansha.co.jp

もう10年以上前だけどドラマ化もしたので有名。

この作品、然程ヘビーな展開にはならないなんだけど、綺麗事ばかりでなく結構シビアな現実も描かれる。娘が成長していくにつれ、障害者の親を持った子どもへの支援・ケアの重要性とかも描かれるようになる。良い作品なんですよ…。

で、自分が思い出したのは、第6巻・第26話で主人公・柚子が娘とともに自立することを目指してパン屋さんに就職する回。

柚子は知的障害者(軽度)なので「“それ”を取って」とか「大体このくらいの量だけ入れて」とかの曖昧な指示や、「一旦コレをしてから次にアレをやって」といった複合的な指示をされると混乱してしまう。また、作業の途中で声をかけられる等イレギュラーも大の苦手。作業に遅れや漏れが発生するようになる。

結果、かなり大きなミスをしてしまった柚子に対して、ずっと教育係を任されていた同僚が痺れをきらして言った言葉は「仕事って一生懸命やればいいってもんじゃないでしょう」だった。

その後も展開にも類似点がある。それは「障害の特性に適応するための作業環境の改善が、他の従業員(健常者)の助けにもなった」という描写。

『恋です!』ではユキコのためにレシートの印字を大きくしたところ、従業員全体でオーダーミスが減少。

一方『だいすき!!』では、柚子に対する繰り返しの指導や確認作業があることによって、他の従業員のケアレスミスが同様に減少した。

つまり、ユキコが働くバーガーショップの店長が言うところの「一人もとりこぼさない」ための施策は、全ての人に対して利が生まれるものなのだ。これ、恐らくこのテーマをお話として描く上で、非常に重要なポイントなのだろうと思う。

ついでに、この「障害をもつ人が一般企業で働く」というテーマを取り扱うにあたり、少し時間をかけて描いているということも2作に共通している点。

そもそも新しい仕事に慣れるまでの習得の作業は、誰にとっても難しいことだ。場合にもよっては相当な気力体力を要する。ましてや、障害の特性を理解してもらわなければないとしたらどれほど大変なことか自分には想像もつかない。ユキコや柚子は仕事にひたむきになれる人であった上、職場環境にも大変恵まれていた。でも実際こんな風にうまくはいかなかった、というしんどい例も無数にあるのだろう。

『恋です!』では二話かけて、別エピソードも挟んで描かれたし、これから先また職場で何か別の問題が発生する可能性もある。『だいすき!!』では第2巻に「柚子が親子二人での自立を考え始めるが、今はまだ難しいと諦める」という展開に一話分が割かれたあと、かなり期間が空いて娘が小学生になった第6巻、やっと就職の回が来る。

いずれも先述した濱田祐太郎さん言うところの「あったらええなぁ」成分の度合いが、少なくともたった一話で済ませない程度には調整されている。じっくり描かなければならない、それだけ難しいことだから。ということなのだろう。

第5話「もっと知りたい」

第5話は、ついにユキコが森生に告白して初デート、でもそのとき二人の間に擦れ違いが生じる――という話。ユキコが大好きでいつも味方でいた森生が、初めてユキコの意向を拒否する。という、ドラマ全体で見ても大きな出来事が発生する。

そのユキコの意向とは「森生の家族の話が聞きたい」というもの。森生は「たとえユキコさんでも話したくないことはあります」と言って対話を拒み、ユキコと距離を置き始める。

自分がこの場面を見て思い出したのが、漫画『羣青』の作者として知られており
自身もレズビアンであることを公表している中村珍さんの言葉だった。

悪気のない無理解と出くわしたら、
悪気のなさだけ重く受け止めたいですね。
悪気のある人以外、悪気なんかないんです。
これは、誰でもやっちゃう普通の無理解。

差別を許さないことと、
無理解を咎めないことは矛盾しません。

私たちはセクシャルマイノリティ同士である前に、
況んやマジョリティと呼ばれる人たちも、
違う人間です。

(中略)

無理解に絶望せず、理解を諦めず、人に根気よく、
気楽に生きたいです。
一つ二つの無理解を指して、誰かを裁くことなく。

outinjapan.com

作品を見るとわかることだけど、中村さんはとにかく言葉を尽くす。なるべく整然とした言葉選びで論理の筋道を立てて、噛んで含んで自分の主張を他者へ伝える、そういう人。

そんな中村さんは『羣青』やエッセイ『いくもん!』などの作品の中で、折に触れてこの「悪気のない無理解との向き合い方」について言及していた。

あーし(私)や あーた(貴方)がたまたま抱えてる人生の不自由を
違う人生送ってきた兄ちゃんが上手に理解できないことと、

たまたま不自由なく育った兄ちゃんの無理解をあーしたちが許さないことは、
…何が違うのかサッパリわかんないんだよね~。

お互いにさ、違う種類の人生を知らなかった~ってだけじゃん…。
わっかんないよ、知る機会の無かったことは。

中村珍『羣青』下巻、P.416より)

『羣青』の主人公は二人いて、上で引用した台詞を発したほうの女性(名前はラストまで公開されない)は、円満な家庭で育ったものの、自身の性的嗜好を家族へ理解してもらうことができなかった人だ。

他者からの「無理解」を一様に拒絶することも、また別の「無理解」のあらわれであると中村さんは言う。こうした「無理解」を巡る摩擦については特に下巻、主人公家族の会話の中で多角的に語られる。私がこの作品で一番印象に残っている部分だ。

なお、「悪気のない無理解」と「理解」の難しさについては、先ほど挙げた『だいすき!!』でも大事なトピックとして何度か描かれる。特に第4巻、ある人物が知的障害に対し無意識に抱いていた偏見を自覚してしまった時のやり取りは象徴的。

……さっき 口ではもっともらしいこといいながら
あのとき美香にさわられるのがイヤでした
怖いって思ったんです あたし……

(『だいすき!!~ゆずの子育て日記~』第4巻P.32より)

娘(美香)が通う幼稚園へボランティアに来ていた知的障害の男性を、激しく拒絶してしまったことへの自己嫌悪。それに対し、障害者支援施設のスタッフがこう言う。

……しかたないです
知らないものは怖いですから

(同上)

知ること、体感して慣れていくことが重要なのだと、この話では語られる。

つまり基本的に大切なのは知ろうとすること、尊重すること。そしてその尊重の姿勢を、相手に示し続けること。森生とユキコにはそれが出来ていたから、仲直りできたし、改めて信頼し合えたことで、関係がぐっと親密になった。

しかしそこから続く第6話、今度は森生と空のやり取りを通して、「理解」「無理解」にまつわる話題がより深く語られることになる。

第6話「キズナ

“見える”ってだけで、みんな同じって決めつけるのってさ、
私達が“見えない”ってことだけでひとくくりにされるのと、
同じようなことなんじゃないかな。

(『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』第6話「キズナ」より)

これは森生に対し「“見える”奴なんて大っ嫌い」と徹底的な拒絶の態度を示した空へ、ユキコが語り掛けた言葉(なお空がこの発言をするに至るまでの思考形成の過程については、この回の終盤で語られる。)。

この回ではその後、空の言葉と態度に対して弱気になった森生が「“見える”俺じゃダメなんすかね。“越えらんねえ壁”的な……。」と嘆いていた。

“越えらんねえ壁”が存在するのは確かだ。相手に成り代わってその身体の感覚と人生を体験することは出来ないのだから。

人は、どんなに傍に居てみたところで、
自分の思い知ったこと以外、何一つ
切実に知らないわ。

中村珍『羣青』下巻、P.455より)

知る、という言葉は先程から何度か出てるけど、この“切実に知る(知らない)”、かなり心に刻まれているフレーズなので引用する。私はこの台詞を見た時、こうした話題につきまとう「本質的な理解とは何か」という問いに対して一つ、しっくりくる解をもらったような気持ちになった。

切実に知る。つまり我が身に起こる/起こったこととして受け止めて考える、ということかと思う。それは人や状況や内容によっては、恐らく一生をかけても出来るかどうかわからないくらいに難しいことだ。ただ、それでも他者の立場から出来うる限りの“理解”をめざすには考えていくしかないし、それを続けていくしかない。

――しかし、そもそも森生は、時々行き詰まることはあっても、最初からそれが出来ている人だ。序盤のがむしゃらな行動力の根源にあったのはユキコへの恋心なわけだけど、たぶん元々めちゃくちゃ人や物事に対して真っ直ぐ向き合う青年だと思う。

ただ、辛い過去の記憶から健常者に対して不信感を抱いている空には、その森生の思いが届かない。これもまた、一種の「無理解」と言える。壁というよりは、フィルターのようなものだと思う。

この回では、そんな様子の二人を見たユキコが森生(と空)を全面的にサポートする、という展開になる。なんか、両想いになってからは特に、ユキコが森生を助ける場面が増えてきてるのが印象的だ。

これは深読みだけど、森生の「“越えらんねえ壁”的な……」という弱音、前話でのユキコとの喧嘩を通して、双方に悪気がなくても「無理解」を巡る摩擦が起きてしまうということを経験したからこそ出たのでは、と思ったり。前話では大好きなユキコが言葉を尽くして自分と対話してくれたから和解できたし、根深く刻まれていた自身の心の傷とも向き合えた。でも今回の相手は空で、まだあまり親しくない上、複雑な思いを抱えている。

一方でユキコはハチ子やバイト先の紺野さんという、そもそも自分を好意的に見てなかった人との不和と和解も経験している。この差も相まって、今回ユキコに大いに助けられるという図式になったんじゃないか、などと想像した。

森生と空はその後ユキコの計らいによって、共通の“好き”に気づけたことから心の距離が縮まった。森生が感じていた壁もといフィルターを越えて、森生の真っ直ぐな思い遣りがちゃんと届くくらいの距離に。つまりこれもまた、人と人とが心を通わせていく過程にある、大事な“知る”のお話だったのだ。

ま―――しかし、皆ほんとに優しく、他人に対して真摯な人間ばかりだなぁ。と正直ちょっと思わなくもない。でもキャラがそれぞれちゃんと魅力的だから、やっぱり「あったらええなぁ」というか……「自分もこんな風になれたら」と思わせられる。

でも、ハチ子はなかなかにつらいことも言っていたな。「白杖があるだけで優しくしてもらえてずるい」とか。あれも映画『ジョゼと虎と魚たち』の中で、下半身が麻痺してるジョゼが恋敵から「あなたの武器(障害)が羨ましいわ」と言われて「ならあんたも脚切ってもうたらええやん」と答える、というやり取りを思い出したりした。

他にも、第7話でも、ユキコの姉のイズミが言った「しっくりくる」っていちいち言葉のチョイスが良いなぁ!ってこととか話したくなるんだけどもう力尽きてきたので、ひとまずここで……。

どんな展開と終わりが待っているのかまだ全然わからない。でもきっと二人は大丈夫なのだろうと思う。シビアな展開やどんでん返しのある物語も好きだけど、こういうお話もまた心に優しくてありがたい。

10月リリースのシングル3作品の話

THE RAMPAGE『LIVING IN THE DREAM』話

本日リリースの『LIVING IN THE DREAM』。

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ご機嫌なチルナンバー、まんまと聴けば聴くほど好きになっている。温かくて柔らかくて優しい、と思って聴いていると段々ビートの気持ちよさが効いてくる感じ。クセになる。

MVも良かった(↑)。アイコンタクトしながら踊ったりフザけたりという、ライブで観たまんまの和やかな空気。ちょっと哀愁漂うチルナンバーだからこそ、このワチャワチャ感に嬉しくなる。雰囲気が似ている「WELCOME 2 PARADISE」は開放感のあるバカンスだったので、屋内のネオンに囲まれているのを見ると対比的にコロナ禍による日常の変化をイメージして、少し切なくなったりもするけど。

ただ同時にこのあまり広くはない空間は、去年の『LIVE×ONLINE』や『REBOOT』ツアーも思い出される。詞の通りに“小さく一歩ずつ積み重ねて”きた。そう思うとまたグッとくるのだった。

シングル表題曲だと告知された時は少し意外だったけど、それも却って良かった。THE RAMPAGEといえばシリアスなヒップホップ路線だけど、当然ながら笑顔のパフォーマンスも似合うし。

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あと一聴してインパクトを残すようなフックのある曲ではなく、ジワジワとクセになるような曲を表題に置くのってカッコいいと思っちゃうんですよね単純に。後に公開された4人ずつバージョンのMVも順番に観ていたら案の定、どんどんこの曲が好きになった。

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打ち出しているモードが明快で、かつそれが本人達によく合っている。良いですね。

ただMVでちょくちょく挿入されるボーカル3人のソロシーンだけは謎だった。監督のツイートには「2人の時にしか見せない空気感を表現」したとあったんだけど、それなら尚更上裸じゃない方が伝わったけどな……と思ってしまった。

そして今回はカップリングの「Moon and Back」「Stampede」がそれぞれ今までにないテイストに冒険していて、これも良い!

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特に「Stampede」二人の歌と川村さんのラップ、攻撃性増し増しですげえカッコいい。「K-POPでよく聴くような音だ……!」と思ったら、実際に作曲者がK-POPグループの作曲に多数携わっている方だそうで。

この2曲は舞台『ETERNAL』のテーマソングと挿入歌なので、作風に合わせてJ-POPのテイストが抑えられているのだと思われる。いずれにせよ、ライブパフォーマンスが楽しみ。今までにありそうでなかった楽曲により、3人の歌も新鮮な聴こえ方をする箇所が非常に多くて良い。

それから、一番最後に解禁されたドラマ『トーキョー製麺所』のエンディングテーマ「OFF THE WALL」。

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ロックサウンド(ラウド寄り)が明確に意識された曲。「SWAG & PRIDE」「FIRED UP」「FULLMETAL TRIGGER」が好きで、“THE RAMPAGE×ロック”の取り合わせに異様な執着を持つ自分としては、歌の聴こえ方が全然違うことに興味がいった。

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近々では「CALL OF JUSTICE」もラウド的で良かった(前作シングル収録の『TOP OF THE TOP』もロックテイストだけど、かなりライトでポップなので省略)。この曲のキャベツを刻んでるみたいなギターの音が大変に好み。やはりディストーションギターが鳴る中で歌って踊るTHE RAMPAGEに自分は惹かれるようで。

ただしこの「COJ」は川村さん→吉野さん→川村さん→RIKUさんと歌うのが主になっていて、どちらかというと『THE RIOT』までの作品に似た構成だった。企画が絡んだ曲なので従来のイメージに寄せたのかもしれない。

『THE RIOT』の後、主にここ一年くらいのリリース作品のパート構成は、かなり変則的であるのと同時に吉野さんが歌い出しを担当することが格段に増えているんですよね。つまり「OFF THE WALL」が新鮮に感じるのは、吉野さんがメインに置かれたラウドだからなんだと思う。テンポやビートの感じは「SWAG&PRIDE」に類似しているけど、このメロディに加えてサビの頭を歌う人が吉野さんであることでぐっとポップになっている。

「FULLMETAL TRIGGER」での活かされ方も面白かったし、吉野北人×ロックにはまだ色んな可能性があるのかもしれない。

GENERATIONS『Unchained World』話

とにかく興奮していた解禁時。告知文に「重厚感溢れるロック」と書かれているのを見てラウド寄りなんだろうな、くらいには思っていた。今やっているアニメシリーズはGRANRODEOのイメージも強いし、EDとして相応しいインパクトが必要とされるし。

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しかし初めて聴いた時は、冒頭で明らかにドコドコと鳴っているキック音に「えっ!?」と驚いたのちに笑ってしまった。ここまでがっつりラウドというかミクスチャーの“型”を成した曲が来るとは思っていなかったので。

つまり、先にGRANRODEOの名を出したけども、彼らが志向したのはFear, and Loathing in Las Vegasのようなダンサブルなミクスチャーだったと。ツーバス的なビートが鳴る曲ってGENEどころかLDHの楽曲で初めて聴きました。(他にあったらごめんなさい)

歌番組にも出る人気ダンス&ボーカルグループで今このテイストのシングル曲が出されるのって結構異例なんじゃないかと思う、良くも悪くも。しかしながらアー写も急に真っっっ赤に染め、ボーカルもヘッドセットでガッツリ踊りながら歌い、ダンスも組体操のように全員の身体を駆使し、さらにMVも明らかに異様な数のバンドセットを設置して要塞のよう。

……という気合いの入りようを見ていると「刃牙』に関わるならこのぐらいやらなきゃダメだ」という意気込みとリスペクト精神が十二分に伝わってくるし、その振り切り方自体に彼らの『刃牙』的マインドを感じて、無性に愛おしくなった。

あとこういう挑戦的な楽曲では「いかにして本人らの色味を表出させるのか」というところも醍醐味だけど、もうこの二人が歌うと一気にGENERATIONSになってしまうんだなぁ、と改めて実感した。こういう二人の“ポップさ”の強度にとても惹かれる。

そしてカップリングの「to U」がメンディーさん、佐野さん、亜嵐さんらが制作に携わり、その三人の声で歌われた初めての曲。グループに新たな自我が生まれるのを見ているような気持ちになった。

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近々のアルバム『Up & Down』は、メンバー自らが手がける範囲をそれまでよりも一気に押し広げていて、彼らのクリエイターとしての進歩が示された作品だった。なので、この曲や最近の佐野さんのラッパー起用もまたその種の挑戦だと受け止めている。こういうと語弊あるかもしれないけど、どちらかというと曲そのものより意義に魅力を感じる。

自分達のトラックと声と言葉で伝える、という手段を手にした三人がまず表現したのが“ファンへの感謝”だったというところも彼ららしい。

あと亜嵐さんのトラックは基本オーセンティックでありつつ何かキャッチーな仕掛けを加えてくる、みたいなイメージがある。この曲だと一番最後にまたイントロのフレーズへ立ち返る終わり方が好き。おしゃれですね。

DEEP SQUAD『変わりゆくもの変わらないもの』話

初のCDリリース!とともに、『劇場版 抱かれたい男1位に脅されています。〜スペイン編〜』の主題歌に起用。これもまた作品に合わせて書き下ろされた曲で、自分は未読なのでそこまで読み取れないんだけど、映画や原作のファンの方々にも大好評のようです(Twitter検索した)。

『チェリまほ』の「Good Love Your Love」も原作のモノローグを思わせる詞だったりジャケット写真だったりと色々凝ってたけど、今回もまた主題歌としてコンセプトを大事にする姿勢が貫かれているのがわかる。素晴らしい。

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MV、歌っているシーンのカメラが固定じゃなくてバーッと寄ったり離れたりと躍動感があるのが独特で面白い。あと自然光、環境光の加減がシーン毎に異なっていてすごく綺麗。「2words」とかも映画的で凝っていたけど今回も見応えがある。

ついこの間FM大阪の「FANTASTIC RADIO」で比嘉さんと杉山さんがゲスト出演していたのを聴いたんだけど、FANTASTICSの中島さんが「DEEP SQUADさんの曲はいつもトラックがカッコいい」というようなことを仰っていて、ですよね!と力強く同意した。どこかに必ず「ここカッコいい!」と思わせるフックがある。典型的なJ-POPという印象だけでは終わらせないという気概をなんとなく感じる。

今回は映画主題歌だし作品の世界観もあってかすごく華やかで、声とハーモニーの美しさも一層際立たされていた。そしてつくづくキャラの想いをより深く投影できる、という点でBL作品と男性ボーカル&コーラスグループっていうのは抜群の相性なんだな。とDEEP SQUADを通して知りました。

あと、杉山亮司さんから始まる曲が何気に初。そしてTwitterでも言ったけど杉山さんの落ちサビから転調する部分がすごくカッコいいんですよ。しかもその前後に何度聴いてもインパクトのあるYUICHIROさんのハイトーン、という強い布陣。聴いてくれ。

あとカップリングの「YOLO」もカッコいい!

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表題曲とは対照的な笑顔を誘う明るいラブソング。ライブでの楽しさも想像できる。

例えるなら「Good Love Your Love」のようなシティポップを「Deja Vu」のようにミニマルでスタイリッシュにしたような曲。つまり良いです。CDシングルだからこそのカップリングだけど、良い曲が埋もれ気味になってしまうことを考えるとジレンマだな。

各サビの最後に歌われる【もっと僕をみて/恋に変わるまでの三種三様の良さを是非とも聴いてほしい。あと「Deja Vu」で初採用された(そしてすごく良かった)比嘉さんと杉山さんのラップパートがこの曲にも。

この二人のラップ、今後もどんどん発展していきそうで楽しみですね。

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(「Deja Vu」が大好きなので最後に貼ります)

 

10月の新譜について諸々のアレで何も書けなかったのでここに纏めてみました。

つくづく今年のLDHアーティストの新曲は追っていて楽しいものばかりだった。EXILE TRIBUTEも4グループそれぞれすごく面白いので何か書けたらいいんだけど。とりあえず片寄さんの10曲を進めつつ、ぼちぼちまた年間ベストも考えていきたいなぁ(去年もひっそりと書いていたので)と思います。

ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。

THE RAMPAGE 結成7周年おめでとう

先月、記事告知用として作成したTwitterアカウントに対して「Twitterを初めて1年」の通知が来ていた。

始めて寄稿した記事()が公開されてからもう1年が過ぎたのだ、とその時に気が付いた。

去年末のブログにも同じようなことを書いたけど、自分は今もずっと「THE RAMPAGEに道をもらった」と思っている。THE RAMPAGEが居なかったら、あの16人じゃなかったら、今の自分の生活はまるで違うものになっていた。

これまでの人生の中で今が一番、音楽を聴くのが楽しい。
THE RAMPAGEを好きになったおかげで。

ボーカル分析記事が始まったのが8月だった。

LDHボーカル分析記事 / Twitter

とにかくライブで真価が見えるというのはわかっていたから各グループともライブDVDどんどん買って観まくっていた記憶。

しかし一年前も今も、自分は何もかもが、あまりにも足りていない。自分が与えられたものを返していけるようになりたいし、彼らに誇れる人間になりたいと思っているけどもうほんとバカほど遠い。

REBOOTツアーに行った時、山彰さんのMCで聞いた「覚悟と信念をもってやり続けていく」という言葉が一番強く心に刻まれた。

時々マジで自分のやってることって不毛なのかもしれないなーと思って、でも元々がそうだったじゃんって思い直す。それを何度か繰り返した一年だったけど、自分の好きな16人グループの背中を見て、今ちょっとまた姿勢を正した。

結成7周年おめでとうございます。背中を追いかけたいです。いつもありがとう。

細かすぎて伝わらない(かもしれない)GENERATIONSの歌の好きなところ10曲選 ~数原龍友さん編~

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LDHの音楽を聴くようになったのが2019年秋。『HiGH&LOW THE WORST』を繰り返し観に行っていた頃はこんな世の中になるとは一ミリも想像していませんでした。2020年はLIVE×ONLINEをはじめ色々とにかく全力で楽しんでましたが、我慢の年でした。

しかし今年、3月の京セラドーム大阪の『RISING SUN TO THE WORLD』と6月の大阪城ホールでの『GENERATIONS LIVE×OFFLINE "Loading..."』に行くことができ、やっとGENERATIONSのお二人の歌声を生ライブで聴くことができました。

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『STOP FOR NOTHING』から見えたもの―FANTASTICSの強さについて

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FANTASTICSの『STOP FOR NOTHING』については、リリース週に寄稿してました。⇩

realsound.jp

ただ、概要しか書けなかった部分が幾つかあったのと、リリース後けっこうすぐに『BATTLE OF TOKYO』プロモーションが始まってしまったので、正直もったいないなーとも思い、改めて自分がこの作品に感じたことについて書くことにしました。

想像以上に長くなってしまったので、じっくり読んでもらえたら幸いです。

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持たざる人間として

FANTASTICS中尾翔太さんの話をする。

2019年秋からLDHと出会った自分は当然、FANTASTICSのそれまでのことを全く知らなかった。中尾さんのことも、亡くなられた当時にニュースで見ただけだった。

彼らについてある程度深く知ってからもあまり情報を深追いしようとはしなかったし、今日のように彼の話題があがる時にも、どちらかというと言及を避けていた。自分には、彼を喪うという経験をしたファンの方の気持ちは決してわからないし、無理にわかろうとしたり、悲しもうとしたりするのは色んな人に対して失礼なことだ。
これは自分が立ち入ってはならない領域、とずっと思っていた。

1か月ほど前、dTVにあるGENERATIONSの過去のツアー映像を古いものから順に追っていて、SPEEDSTERツアーに帯同していた当時のFANTASTICSと中尾さんを観た。

その姿を見たことが無かったわけではもちろんないけど、そうしたライブ映像の中で、ステージの一員としてがっつりパフォーマンスしている姿を観たのはその時が初めてだった。今考えれば当たり前のことではあるんだけど、パフォーマンスを通して知る“中尾翔太さん”の情報量は、写真やちょっとした動画程度でしか知らなかったそれまでとはケタ違いに大きかった。

何より、彼とともに生き生きとパフォーマンスする他のFANTASTICSメンバーを観て、中尾さんの存在というものを強く強く実感した。彼らと中尾さんの道のりは、本当にこれからという所だったんだ、ということも。

当時の記憶というものを持たない自分に、そこで喪失感に似たものが強くこみ上げて、今までで一番悲しくて寂しいと感じた。
と同時に、こういう形でちゃんと中尾さんの表現を享受できて本当によかったと思った。

無理に知る必要も悲しむ必要もないというのは確かだ。
でも今も中尾さんの存在がグループにとって強い支えになっていることは彼らの言葉の端々から伝わるし、彼らの作品にはこれからも必ず、中尾さんとともに作り上げたスキルや表現が宿っていく。だからFANTASTICSを知ることは中尾さんを知ることであり、その逆もそうだ。

自分にとっての今日は、彼を思う人たちのたくさんの言葉から、そのことを再確認する日になった。

中尾翔太さん お誕生日おめでとうございます。
前進し続ける9人へ敬意をこめて。