10月リリースのシングル3作品の話
THE RAMPAGE『LIVING IN THE DREAM』話
本日リリースの『LIVING IN THE DREAM』。
ご機嫌なチルナンバー、まんまと聴けば聴くほど好きになっている。温かくて柔らかくて優しい、と思って聴いていると段々ビートの気持ちよさが効いてくる感じ。クセになる。
MVも良かった(↑)。アイコンタクトしながら踊ったりフザけたりという、ライブで観たまんまの和やかな空気。ちょっと哀愁漂うチルナンバーだからこそ、このワチャワチャ感に嬉しくなる。雰囲気が似ている「WELCOME 2 PARADISE」は開放感のあるバカンスだったので、屋内のネオンに囲まれているのを見ると対比的にコロナ禍による日常の変化をイメージして、少し切なくなったりもするけど。
ただ同時にこのあまり広くはない空間は、去年の『LIVE×ONLINE』や『REBOOT』ツアーも思い出される。詞の通りに“小さく一歩ずつ積み重ねて”きた。そう思うとまたグッとくるのだった。
シングル表題曲だと告知された時は少し意外だったけど、それも却って良かった。THE RAMPAGEといえばシリアスなヒップホップ路線だけど、当然ながら笑顔のパフォーマンスも似合うし。
あと一聴してインパクトを残すようなフックのある曲ではなく、ジワジワとクセになるような曲を表題に置くのってカッコいいと思っちゃうんですよね単純に。後に公開された4人ずつバージョンのMVも順番に観ていたら案の定、どんどんこの曲が好きになった。
打ち出しているモードが明快で、かつそれが本人達によく合っている。良いですね。
ただMVでちょくちょく挿入されるボーカル3人のソロシーンだけは謎だった。監督のツイートには「2人の時にしか見せない空気感を表現」したとあったんだけど、それなら尚更上裸じゃない方が伝わったけどな……と思ってしまった。
そして今回はカップリングの「Moon and Back」「Stampede」がそれぞれ今までにないテイストに冒険していて、これも良い!
特に「Stampede」二人の歌と川村さんのラップ、攻撃性増し増しですげえカッコいい。「K-POPでよく聴くような音だ……!」と思ったら、実際に作曲者がK-POPグループの作曲に多数携わっている方だそうで。
この2曲は舞台『ETERNAL』のテーマソングと挿入歌なので、作風に合わせてJ-POPのテイストが抑えられているのだと思われる。いずれにせよ、ライブパフォーマンスが楽しみ。今までにありそうでなかった楽曲により、3人の歌も新鮮な聴こえ方をする箇所が非常に多くて良い。
それから、一番最後に解禁されたドラマ『トーキョー製麺所』のエンディングテーマ「OFF THE WALL」。
ロックサウンド(ラウド寄り)が明確に意識された曲。「SWAG & PRIDE」「FIRED UP」「FULLMETAL TRIGGER」が好きで、“THE RAMPAGE×ロック”の取り合わせに異様な執着を持つ自分としては、歌の聴こえ方が全然違うことに興味がいった。
近々では「CALL OF JUSTICE」もラウド的で良かった(前作シングル収録の『TOP OF THE TOP』もロックテイストだけど、かなりライトでポップなので省略)。この曲のキャベツを刻んでるみたいなギターの音が大変に好み。やはりディストーションギターが鳴る中で歌って踊るTHE RAMPAGEに自分は惹かれるようで。
ただしこの「COJ」は川村さん→吉野さん→川村さん→RIKUさんと歌うのが主になっていて、どちらかというと『THE RIOT』までの作品に似た構成だった。企画が絡んだ曲なので従来のイメージに寄せたのかもしれない。
『THE RIOT』の後、主にここ一年くらいのリリース作品のパート構成は、かなり変則的であるのと同時に吉野さんが歌い出しを担当することが格段に増えているんですよね。つまり「OFF THE WALL」が新鮮に感じるのは、吉野さんがメインに置かれたラウドだからなんだと思う。テンポやビートの感じは「SWAG&PRIDE」に類似しているけど、このメロディに加えてサビの頭を歌う人が吉野さんであることでぐっとポップになっている。
「FULLMETAL TRIGGER」での活かされ方も面白かったし、吉野北人×ロックにはまだ色んな可能性があるのかもしれない。
GENERATIONS『Unchained World』話
刃牙にガッツリ寄せた結果かつてない程に振り切ったラウドをやるってカッコよくないですかね…そりゃめちゃくちゃヒットするかといったらなんとも言えないけど、だからこそというか。
— 川崎ごはん(日高愛) (@SaikyouOkome) 2021年9月2日
とにかく興奮していた解禁時。告知文に「重厚感溢れるロック」と書かれているのを見てラウド寄りなんだろうな、くらいには思っていた。今やっているアニメシリーズはGRANRODEOのイメージも強いし、EDとして相応しいインパクトが必要とされるし。
しかし初めて聴いた時は、冒頭で明らかにドコドコと鳴っているキック音に「えっ!?」と驚いたのちに笑ってしまった。ここまでがっつりラウドというかミクスチャーの“型”を成した曲が来るとは思っていなかったので。
つまり、先にGRANRODEOの名を出したけども、彼らが志向したのはFear, and Loathing in Las Vegasのようなダンサブルなミクスチャーだったと。ツーバス的なビートが鳴る曲ってGENEどころかLDHの楽曲で初めて聴きました。(他にあったらごめんなさい)
歌番組にも出る人気ダンス&ボーカルグループで今このテイストのシングル曲が出されるのって結構異例なんじゃないかと思う、良くも悪くも。しかしながらアー写も急に真っっっ赤に染め、ボーカルもヘッドセットでガッツリ踊りながら歌い、ダンスも組体操のように全員の身体を駆使し、さらにMVも明らかに異様な数のバンドセットを設置して要塞のよう。
……という気合いの入りようを見ていると「『刃牙』に関わるならこのぐらいやらなきゃダメだ」という意気込みとリスペクト精神が十二分に伝わってくるし、その振り切り方自体に彼らの『刃牙』的マインドを感じて、無性に愛おしくなった。
あとこういう挑戦的な楽曲では「いかにして本人らの色味を表出させるのか」というところも醍醐味だけど、もうこの二人が歌うと一気にGENERATIONSになってしまうんだなぁ、と改めて実感した。こういう二人の“ポップさ”の強度にとても惹かれる。
そしてカップリングの「to U」がメンディーさん、佐野さん、亜嵐さんらが制作に携わり、その三人の声で歌われた初めての曲。グループに新たな自我が生まれるのを見ているような気持ちになった。
近々のアルバム『Up & Down』は、メンバー自らが手がける範囲をそれまでよりも一気に押し広げていて、彼らのクリエイターとしての進歩が示された作品だった。なので、この曲や最近の佐野さんのラッパー起用もまたその種の挑戦だと受け止めている。こういうと語弊あるかもしれないけど、どちらかというと曲そのものより意義に魅力を感じる。
自分達のトラックと声と言葉で伝える、という手段を手にした三人がまず表現したのが“ファンへの感謝”だったというところも彼ららしい。
あと亜嵐さんのトラックは基本オーセンティックでありつつ何かキャッチーな仕掛けを加えてくる、みたいなイメージがある。この曲だと一番最後にまたイントロのフレーズへ立ち返る終わり方が好き。おしゃれですね。
DEEP SQUAD『変わりゆくもの変わらないもの』話
初のCDリリース!とともに、『劇場版 抱かれたい男1位に脅されています。〜スペイン編〜』の主題歌に起用。これもまた作品に合わせて書き下ろされた曲で、自分は未読なのでそこまで読み取れないんだけど、映画や原作のファンの方々にも大好評のようです(Twitter検索した)。
『チェリまほ』の「Good Love Your Love」も原作のモノローグを思わせる詞だったりジャケット写真だったりと色々凝ってたけど、今回もまた主題歌としてコンセプトを大事にする姿勢が貫かれているのがわかる。素晴らしい。
MV、歌っているシーンのカメラが固定じゃなくてバーッと寄ったり離れたりと躍動感があるのが独特で面白い。あと自然光、環境光の加減がシーン毎に異なっていてすごく綺麗。「2words」とかも映画的で凝っていたけど今回も見応えがある。
ついこの間FM大阪の「FANTASTIC RADIO」で比嘉さんと杉山さんがゲスト出演していたのを聴いたんだけど、FANTASTICSの中島さんが「DEEP SQUADさんの曲はいつもトラックがカッコいい」というようなことを仰っていて、ですよね!と力強く同意した。どこかに必ず「ここカッコいい!」と思わせるフックがある。典型的なJ-POPという印象だけでは終わらせないという気概をなんとなく感じる。
今回は映画主題歌だし作品の世界観もあってかすごく華やかで、声とハーモニーの美しさも一層際立たされていた。そしてつくづくキャラの想いをより深く投影できる、という点でBL作品と男性ボーカル&コーラスグループっていうのは抜群の相性なんだな。とDEEP SQUADを通して知りました。
あと、杉山亮司さんから始まる曲が何気に初。そしてTwitterでも言ったけど杉山さんの落ちサビから転調する部分がすごくカッコいいんですよ。しかもその前後に何度聴いてもインパクトのあるYUICHIROさんのハイトーン、という強い布陣。聴いてくれ。
あとカップリングの「YOLO」もカッコいい!
表題曲とは対照的な笑顔を誘う明るいラブソング。ライブでの楽しさも想像できる。
例えるなら「Good Love Your Love」のようなシティポップを「Deja Vu」のようにミニマルでスタイリッシュにしたような曲。つまり良いです。CDシングルだからこそのカップリングだけど、良い曲が埋もれ気味になってしまうことを考えるとジレンマだな。
各サビの最後に歌われる【もっと僕をみて/恋に変わるまで】の三種三様の良さを是非とも聴いてほしい。あと「Deja Vu」で初採用された(そしてすごく良かった)比嘉さんと杉山さんのラップパートがこの曲にも。
この二人のラップ、今後もどんどん発展していきそうで楽しみですね。
(「Deja Vu」が大好きなので最後に貼ります)
10月の新譜について諸々のアレで何も書けなかったのでここに纏めてみました。
つくづく今年のLDHアーティストの新曲は追っていて楽しいものばかりだった。EXILE TRIBUTEも4グループそれぞれすごく面白いので何か書けたらいいんだけど。とりあえず片寄さんの10曲を進めつつ、ぼちぼちまた年間ベストも考えていきたいなぁ(去年もひっそりと書いていたので)と思います。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。