ミチスガラ

LDHアーティストが好き。色々書きます

持たざる人間として

FANTASTICS中尾翔太さんの話をする。

2019年秋からLDHと出会った自分は当然、FANTASTICSのそれまでのことを全く知らなかった。中尾さんのことも、亡くなられた当時にニュースで見ただけだった。

彼らについてある程度深く知ってからもあまり情報を深追いしようとはしなかったし、今日のように彼の話題があがる時にも、どちらかというと言及を避けていた。自分には、彼を喪うという経験をしたファンの方の気持ちは決してわからないし、無理にわかろうとしたり、悲しもうとしたりするのは色んな人に対して失礼なことだ。
これは自分が立ち入ってはならない領域、とずっと思っていた。

1か月ほど前、dTVにあるGENERATIONSの過去のツアー映像を古いものから順に追っていて、SPEEDSTERツアーに帯同していた当時のFANTASTICSと中尾さんを観た。

その姿を見たことが無かったわけではもちろんないけど、そうしたライブ映像の中で、ステージの一員としてがっつりパフォーマンスしている姿を観たのはその時が初めてだった。今考えれば当たり前のことではあるんだけど、パフォーマンスを通して知る“中尾翔太さん”の情報量は、写真やちょっとした動画程度でしか知らなかったそれまでとはケタ違いに大きかった。

何より、彼とともに生き生きとパフォーマンスする他のFANTASTICSメンバーを観て、中尾さんの存在というものを強く強く実感した。彼らと中尾さんの道のりは、本当にこれからという所だったんだ、ということも。

当時の記憶というものを持たない自分に、そこで喪失感に似たものが強くこみ上げて、今までで一番悲しくて寂しいと感じた。
と同時に、こういう形でちゃんと中尾さんの表現を享受できて本当によかったと思った。

無理に知る必要も悲しむ必要もないというのは確かだ。
でも今も中尾さんの存在がグループにとって強い支えになっていることは彼らの言葉の端々から伝わるし、彼らの作品にはこれからも必ず、中尾さんとともに作り上げたスキルや表現が宿っていく。だからFANTASTICSを知ることは中尾さんを知ることであり、その逆もそうだ。

自分にとっての今日は、彼を思う人たちのたくさんの言葉から、そのことを再確認する日になった。

中尾翔太さん お誕生日おめでとうございます。
前進し続ける9人へ敬意をこめて。